リッチと聞けばお金持ちをイメージするかもしれません。今回は個人ではなく市区町村の中で一番リッチなところはどこなのかを考えます。多くの方は東京の港区とか世田谷区あたりがお金持ちなんじゃないかな?と考えるかも知れませんね。
今回のランキングのもととなっているのは、総務省がまとめた地方公共団体の主要財政指標のうちの、財政力指数(平成29年度)です。
この財政力指数とは、自治体の財政力を示す指標であり、基準となる収入額を支出額で割り算(÷)した数値です。1.0であれば収支バランスがとれていることを示しており、1.0を上回れば基本的に地方交付税交付金が支給されなくなります。お金持ちの自治体と見なされるからですね。ちなみに全国平均は0.51です。
では一番リッチな自治体に選ばれたのはどこでしょうか?
それは、愛知県にある飛島村(とびしまむら)です👏👏👏 「え……ど、どこ?」と思ったあなた、無理もありません。とても小さな村なんですから。
でも、不思議ですよね。なぜ村がリッチなのでしょうか。
私たちが抱く村のイメージとしては、のどかな田園風景、まばらな民家、空気のきれいな場所かもしれませんが、飛島村はそのイメージとかけ離れた場所です。飛島村とはどんなところなのでしょうか。
飛島村の人口は4,768人(平成31年3月1日現在)です。村内には鉄道が走っておらず、公共交通手段はバスしかありません。学校も公立の小中一貫教育校だけです。これらの情報だけだと過疎化の村ですよね。しかしほかの村と大きく異なっている点があります。
この飛島村の南部には、名古屋市に隣接する臨海工業地帯に、鉄鋼関連の事業所や発電所や輸送関係の倉庫が立ち並んでいます。飛島村はこれらの工業地帯を有しているのです。こうした事業者からの固定資産税が飛島村を日本一豊かな自治体とさせています。
財政にゆとりがありますので、当然住民サービスも充実しています。複合施設には温水プール、ジム、図書館を備えていますし、村に20年以上居住し、90歳を迎えると20万円、95歳で50万円、100歳では100万円が贈呈されます。さらに、独居の高齢者宅には無料で乳酸菌飲料を配布し、安否確認をするサービスもおこなっているのです。
手厚いサービスは高齢者だけにとどまりません。若者にもきちんと還元されています。中学生を毎年約1週間、アメリカのカリフォルニア州に派遣し、旅費と宿泊費はすべて村が負担してくれます。また、住民が出産して1年以上村に在住した場合と、子供が小学校、中学校にそれぞれ入学した場合、村から10万円の祝金が支給されるのです。なんともうらやましい限りです…
愛知県にある飛島村。村と言ってもド田舎ではなく、名古屋にとても近く、かつ巨大な工業地帯を抱えるリッチな村の話でした。