先日(2019年12月)イギリスで総選挙があり、与党である保守党が勝利し、2020年1月末にイギリスがEUから離脱することに決まりました。最初選挙の結果を見た時に「結局離脱するんかい!」と思ってしまいました。というのもイギリスがEUから抜けることにあまりメリットがないからです。
イギリスがEUを離脱する際に用いられた言葉が「ブレグジット(Brexit)」です。英国を表わす“British"と退出を意味する"exit“をくっつけた混成語です。まさにこの言葉が現実になりました。
最初にEUを離脱するかどうかで選挙が行われたのが2016年6月でした。イラクやシリアなどの難民や移民がたくさんイギリスに来ることで、国内の治安を悪化させ、おかげに社会保障費を彼らにも割かなければならないことに不満を感じた結果、選挙によってイギリスのEU離脱が決まりました。
しかしEUやイギリス議会内での意見や条件が折り合わず離脱は先延ばしになっていました。ようやく今回の選挙で正式に離脱が決まったのです。たしかにEUから離脱すれば、難民や移民を受け入れなくてもすみます。
しかし国民は離脱することでたくさんのデメリットも考える必要がありました。
①イギリスからEU内に行くのに税関を通らなければならなくなります。EU内であればパスポート無しで行き来できますが、離脱することでいちいち税関を通って入国する必要があります。
②EUとの貿易に関税がかかります。イギリスはEUからたくさんの物を輸入していますので、関税がかかるとなると商品が高くなってしまいます。反対にEUに輸出する際にも自国製品に関税がかかってしまうので、商品が高くなる分売れなくなります。
③スコットランドの独立問題。イギリスは4つの国(イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランド)で成り立っています。スコットランドはEU離脱に猛反対していますので、もしかしたらイギリスからスコットランドが抜けてしまう可能性があります。そうなると領土も人口も減ってしまいますね。
④北アイルランドと南アイルランドの国境問題がおこる。北と南はあまり仲が良くありませんでした。イギリスから独立するか否か、カトリックかプロテスタントかなどの理由で抗争やテロが頻発していました。その後、北と南で和平合意されました。お互いEUにいることで両国を行き来できましたが、離脱することで国境問題が浮上しました。また暴動やテロが起きなければいいのですが。
このようにデメリットは大きく分けると4つ挙げられます。EUを離脱することでイギリスの経済は傾くことでしょう。そもそも農業に適した土地ではありませんし、製造業も200年前の産業革命時ならまだしも今は東南アジアやアフリカが製造国家になっています。となると観光業や金融業で生きてゆかなければなりません。んー難しいですね。
今でもイギリスは経済的にも大きな力を持っています。200年前は大英帝国と呼ばれ、一時は世界の4分の1の領土を持ち、英語を世界中に普及させた偉大な国家ですが、EU離脱により世界の中心から降りようとしているのかもしれません。