私達人間は川の水に大きく依存しています。飲み水や農業用水として活用されています。また淡水の生物や鳥などの生息地としてなくてはならないものでもあります。川の流れる音は癒しともなりますし、憩いの場でもあります。
しかし、いったん大雨が降ると水かさが増し、穏やかな川が一変します。今回、大規模な災害となった熊本県の球磨川、また荒川や最上川などは雨が降るとスピードがかなり速くなります。世界の川と比較すると全体的に日本の川はすぐに暴れ川になります。なぜでしょうか?
日本列島は標高1000~3000m代の山々がたくさんあります。地図を見ても日本は平野面積が少なく、山国であることがわかります。それゆえヨーロッパやアメリカの川に比べると全体の川の長さがとても短く、同じ標高差を短い距離で流れるために速く流れます。
日本で1番長い川は信濃川です。標高2200m地点から水が湧き出ていて、367kmの流れを経て日本海に注いでいます。世界的に見ればかなり流れの速い川です。去年(令和一年)には長野県の千曲川(信濃川)が氾濫して街が大変なことになっていましたね。
日本で最も早く流れる川は、富山県にある常願寺川です。源流から河口までの標高差が約3000mありますが、川の長さはわずか56kmで世界でも有数の急流な川です。北アルプスの標高の高い山から滑り落ちるように水が流れていくのです。
雨が降ふると水が川に集まり、川は一気に水かさが増します。では洪水時の水量はどれくらいになるのでしょうか。関東地方の利根川では平常時の100倍、中部地方の木曽川は60倍、近畿地方の淀川は30倍にも増えます。一方外国の河川では、イギリスのテムズ川で8倍、ドイツなどを流れるドナウ川で4倍、アメリカのミシシッピ川で3倍となっています。日本の川は、全長が短いわりに川の勾配が急ですので、上流に降った雨が一気に海まで流れ出てしまうのです。
関東地方を流れる荒川の下流域では、水面よりも低い位置に住宅街が広がっています。普段は堤防があって問題ありませんが、もし堤防が決壊したら街は水没してしまいます。いわゆる東京下町の地域には多くの人が住んでいますので川が氾濫したら大災害になります。大阪湾周辺、伊勢湾周辺の土地も海抜ゼロメートル地帯になりますので大雨時には注意が必要です。
このように日本には暴れ川がたくさん存在します。今後、気候異常によって大雨が降ることが予想されています。ですから自分の住んでいる街に水害が起きないかどうかチェックしてみるのは良いですね。