貴殿のふとした疑問に答えるブログ

ふと疑問に思う「なぜ?」「どうして?」「〇〇って何?」に答えるブログです。

松茸ってなんであんなに高いの? 松茸の味をしているキノコってほかにある?

f:id:pointia:20201017135455j:plain

秋の味覚の一つに松茸があります。焼き料理、蒸し料理どちらも松茸本来の香りと味を楽しむことができます。でも高いのがネックとなっていて、しめじや椎茸などとは違い毎度食卓に並ぶようなものではありません。年に数回、人によっては数年に1回くらいかもしれませんね。ではなんで松茸はこんなに高いのでしょうか?

 

「松茸が高級なのは採れる量が少ないからでしょ」とよく言われます。確かに獲れる量に比べて需要の方が多いので、価格が高くなってしまうのは仕方ありません。これは需要と供給のバランスです。しかし昔はかなりの松茸が採れていました。江戸時代には一般大衆にも松茸が食べられていたことを示す文献が残っているくらいです。また明治以降は「松茸列車」と呼ばれる、国産松茸を満載した貨物列車が毎日東海道本線を走ったほどです。

 

松茸はアカマツ(赤松)の木のそばから生えてきます。樹齢20年頃になると生え始め、樹齢80年頃になると衰退していきます。アカマツは日本のほとんどの場所に分布しており、松茸の流通量の最盛期だった1941年(昭和16年)には1万2000トンが記録されています。しかし2018年には65トンしか松茸が流通していません。ということはここ半世紀の間で松茸が採れなくなったということになります。

 

ではなぜアカマツはあるのに、松茸が採れなくなってしまったのでしょうか。昔は山にある落ち葉や薪を燃料として使っていましたが、現在では電気やガスに取って代わられています。そのため管理されていない山には、腐葉土などが堆積していて土壌が湿ってしまい、栄養豊富な状態になってしまっているのです。一見良さそうに思ってしまいますが、松茸は貧栄養で比較的乾燥した土を好みます。ですから、きちんと落ち葉を掃いて乾燥を保たないと松茸は生えてこないのです。

 

松茸は人工栽培が出来ません。そのため多くの松茸を中国やアメリカやヨーロッパなどから輸入しています。しかし植物防疫法により微量でも土が付着した状態での輸入が禁止されているので、一度きれいに洗浄してから輸出しなければならないのです。そのため輸入物はどうしても風味と香りが弱くなってしまうというデメリットがあります。

 

この松茸に代わるものとして注目を浴びているのが、「バカマツタケ」というキノコです。ネーミングが悪いですが、見た目は松茸と似ていて、味と香りは松茸よりも良いとも言われています。このバカマツタケはアカマツではなく、ブナ科のミズナラ、コナラ、ウバメガシなどの広葉樹林で生えており全国的に分布していますが、マイナーなキノコなので現在ではあまり流通はしていません。残念です。しかし2018年にはバカマツタケの完全人工栽培に成功していますので、これから本家の松茸に代わって大量に流通するようになれば、庶民でも安く松茸?(バカマツタケ)を食べることができるかもしれませんね。

にほんブログ村 教育ブログ 社会科教育へ
にほんブログ村