貴殿のふとした疑問に答えるブログ

ふと疑問に思う「なぜ?」「どうして?」「〇〇って何?」に答えるブログです。

戦争で殺し合いをする敵同士が1日だけ仲良くなった日

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戦争と言えばどんなものをイメージしますか。多くの場合殺し合いが付き物です。日清戦争、日露戦争、第一次世界大戦、第二次世界大戦などは日本が参加した戦争になります。第二次世界大戦後は朝鮮戦争やベトナム戦争、イランイラク戦争などがありました。しかし時代と共にITインフラが発達し、物理的な攻撃を伴わない国家間の争いが増加し、経済戦争、貿易戦争、サイバー戦争などという言葉が用いられています。

 

どちらにしても、戦争は対立を生み出しますし、お互いを憎しみ合うことになります。一人の人として接すれば良い人でも、国もしくは民族という大きなくくりとしてしまうことで、「〇〇人は…」という憎しみが生まれてしまいます。

 

戦場で戦う兵士たちは極限状態の下で命を懸けて戦います。目の前の敵を殺さなければ自分が殺されてしまうからです。その精神状態はいかばかりでしょうか。さて、そんな戦争状態にある中でも一日だけ平和な日だったことがありました。時代は第一次世界大戦の時のことです。

 

第一次世界大戦は1914年7月28日から1918年11月11日にかけて行われた世界大戦です。1914年12月のヨーロッパは第一次世界大戦の激戦の最中で、イギリス軍とドイツ軍は激しい攻防を繰り広げていました。時は1914年12月24日クリスマスイブ、本来であれば家族で楽しくクリスマスを祝って過ごしているときですが、戦争をしているためイギリスとドイツの両軍は塹壕の中で身を潜めています。

 

そんな時ドイツ軍の兵士たちが「きよしこの夜」を歌い出します。それに驚いたイギリス軍の兵士たちは最初身構え、塹壕から顔を出しますが、そこに見えたのはドイツ兵がイギリス軍に手を振っている光景です。それに呼応するかのようにイギリス兵も「きよしこの夜」を歌い出します。とても不思議な光景ですね。

 

夜が明け25日の朝、ドイツ軍が塹壕を出てイギリス軍の方に近づいてきます。その光景に驚いたイギリス軍は警戒しますが、ドイツ兵は武器を持っていません。ドイツ兵たちは「メリークリスマス」と言い、それを見たイギリス軍も武器を持たずにドイツ兵に近づき握手をしました。これが世にいう「クリスマス停戦」と言われているものです。しかし、この停戦は現場の判断で行なわれたもので非公式の停戦となっています。その日の両軍は、プレゼント交換や記念撮影、互いにサッカーやトランプを楽しんだとのことです。

 

クリスマスが明けた26日からはまたイギリス軍とドイツ軍は再び戦闘をはじめています。何とも不思議な一日を兵士たちは送りました。ここから分かることは、普段は人を殺す訓練をしている兵士ですら、戦争よりも平和を望んでいるということの表れと言えます。同じ人間同士ですので分かり合えれば「敵」ではなく「友」になることができると証明した1日でもありました。

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