写真:道南いさりび鉄道
鉄道において耳にすることのある第三セクター、聞いたことはあっても実態が分からないという方もおられるでしょう。今回は第三セクターに関して簡単にご説明します。
第三セクターとは何でしょうか。それは半官半民の鉄道会社になります。第三があるということはその前に第一と第二があるはずです。第一セクターとは国および地方公共団体が経営する公営企業のことで、第二セクターは民間企業のことです。第三セクターは国や地方公共団体+民間が合同で出資・経営する企業にあたります。
国鉄時代には全国にたくさんの路線を敷設していましたが、営利を求めない国が鉄道を経営していたので、どうしても採算を考えない経営を行っていました。しかしあまりにも赤字が膨らんでいたので、国鉄の経営を再建するという目的のもと、1980年に「国鉄再建法」が出来ました。これにより不採算路線(赤字ローカル線)を廃止、廃止を逃れた路線はバスや第三セクター鉄道に転換されることになりました。
利用者がいないという理由でいきなり廃線になってしまうと地元の人たちは困ってしまいます。そのため存続を強く望む地元の声を受けて設立されたものが第三セクター鉄道です。しかしもともと利用者が少ない路線を受け継いだので経営は苦しく、そのまま廃止された路線も少なくありません。
例えば、北海道を走っていた「ちほく高原鉄道ふるさと銀河線(旧池北線)」は2006年に廃止。富山と岐阜を走っていた「神岡鉄道(旧神岡線)」も2006年廃止。兵庫県を走っていた「三木鉄道(旧三木線)」は2008年に廃止されています。災害によって廃止された路線もあります。それは宮崎県を走っていた「高千穂鉄道(旧高千穂線)」です。台風被害により2か所の橋梁が流されるなど甚大な被害を受け、復旧費用が捻出できずに2008年にそのまま廃止されてしまいました。
このように半数以上は赤字経営を続けている中で、黒字を出している鉄道会社もあります。令和元年においては愛知環状鉄道、信楽高原鐵道、智頭急行、若桜鉄道、甘木鉄道、しなの鉄道、IRいしかわ鉄道の7社が経常黒字でした。しかし令和2年に新型コロナの影響があったので、もしかしたら廃止を検討せざるを得ない会社も出てくるかもしれませんね。
このように多くの第三セクターが経営難で苦しんでいます。今後は日本の人口は減少してゆきますし、地方から都会への人口流出は止まりませんので、経営面での見通しは明るくはないでしょう。その中でどうやって自分たちの会社が生き残ってゆくのか手腕が試されています。