年の瀬になって日本各地で地震が多発しています。特に多いのが鹿児島県のトカラ列島近海で、十島村の悪石島では12月9日に震度5強の揺れを観測するなど、周辺では12月に入って群発地震が続いています。というニュースが流れていました。「そうなんだ。それは大変だなぁ」と感じるわけですが、そもそも「トカラ列島ってどこ?十島村ってどこ?悪石島ってなんでその名前なの?」などなど疑問に思われたか方も多いかもしれません。今回はその点についてお伝えします。
トカラ列島はカタカナで表記されていますが、実際は吐噶喇列島と書きます。でも漢字が難しいことや「噶」の字がJIS X 0208に収録されていないため、トカラ列島と表記されています。
地理的には列島とあるように島々が列をなしています。日本地図をイメージしてみてください。九州の南にある鹿児島県にはたくさんの島があります。有名なのでは屋久島や種子島や奄美大島です。そして沖縄の島々につながっていきます。これらの島々が並んでいる地域を「南西諸島」と呼んでいます。
南西諸島にはいくつかのグループ分けがされていて、北(九州寄り)から大隅諸島、吐噶喇列島、奄美群島、沖縄諸島、宮古列島、八重山列島に連なっていて、沖縄諸島の東に離れて大東諸島、八重山列島の北には尖閣諸島があります。これらをまとめたのが南西諸島です。
今回は北から2番目のグループであるトカラ列島についてです。この列島は比較的小さな島で成り立っていて、人が住んでいる島は中之島、諏訪之瀬島、口之島、平島、宝島、小宝島、悪石島で、あとの6つは無人島です。
このトカラ列島にある島は全て十島村(としまむら)に所属していて、十島村は最北の口之島から最南の横当島までの距離が直線で約160kmも離れていることから“日本一長い村”とされています。
そして今回震度5強を観測したのが、十島村にある悪石島(あくせきじま)なのです。名前の由来は諸説あるようですが、「島のあちこちに石があり、崖から落ちてきそうだから」や、「平家の落人が、追手が来たがらないような名を付けた」などが由来となっています。もし「平家の落人」説であれば、島の名前を「悪石」と付けることで「あの島は危険なんじゃないか。縁起の悪い島だな…」など、近寄りたくない雰囲気を出せそうですね。
実際には、断崖絶壁に囲まれた悪石島は亜熱帯性の植物群が茂るダイナミックな島で、仮面神ボゼを含む神々を信仰する島でもあります。島内は温泉にも恵まれていて、海岸近くには男女別の風呂がある湯泊温泉、海岸の岩間に湧き出る海中温泉、地熱を利用した砂蒸し風呂などもあり非日常を味わえる場所となっています。地震によって島民の中には鹿児島に避難されているそうですが、早く平穏な島に戻ってほしいと願います。