先日、テレビを見ていたら鉄道に関する番組が流れていて、北陸新幹線のドアの強度を強めるために、ドア内部にハニカム構造の紙が入っていると報じられていました。1トンの重さにも耐えられるということです。普通に考えたら紙では強度が出ないのでは?と感じてしまいましたが、軽く、しかも強度があるということで採用されているようです。このハニカム構造というのは凄いですね。今回は蜂が生み出したハニカム構造について考えます。
このハニカム構造で作られているものといえば真っ先にハチの巣を思い浮かべるのではないでしょうか。ハチの巣は、働きバチが分泌した蝋(蜜ろう)で造ってできたもので、多くの巣が正六角形の枠組みで作られています。ちなみにハニカムとは英語で「蜂蜜 (Honey) の櫛 (Comb) 」から取られていて、「ミツバチの巣」という意味です。
平面を隙間なく敷き詰めることを平面充填(へいめんじゅうてん)と言い、全て同じ形状で平面充填が可能なのは、三角形・四角形・六角形しかありません。六角形の利点は、空間を最小限の仕切りで均等に分割することができ最も効率的ということです。ですからハニカム構造はとても合理的な造りをしていると言えますね。
ハチは、巣を六角柱にすることで、限られた空間すべてを最も有効に活用でき、最小限の蜜ろうで軽くて強固な巣を作り、最大限の蜜を貯めることができます。このような理由ゆえにハチの巣が「建築学上の傑作」と呼ばれているのです。誰も教えていないのに、ミツバチは生まれた時からハニカム構造で巣を作るのをプログラミングされていることに驚きですね。自然界では、ハチの巣以外に、亀の甲羅や昆虫の複眼、玄武岩の柱状節理にハニカム構造が見られます。
ハニカム構造を生かしたものとして、サッカーゴールの網、航空機の構造材料、カーボンナノチューブ(炭素の結合でできた素材)などがあります。自然界の知恵が生かされたものが私たちの身の回りに存在しているんですね。
自然界に見られるものから人間は多くのヒントを得ているのは面白いですね。まだまだ私たちが知らないだけで他にも隠れた自然界の知恵があるのかもしれません。今回はミツバチが作り出したハニカム構造について考えてみました。