普段できない船旅への憧れを持っている方は少なくないようです。近年の日本においてもクルーズ客船による船旅は増えています。とりわけ時間とお金の余裕があるリタイアされたご夫婦の利用が多いようです。とりわけ、期間の長いものとして世界一周クルーズの人気も高まっています。「飛鳥Ⅱ」や「にっぽん丸」で世界を周るツアーもあり、憧れの的となっています。
洋上における最上の娯楽の一つである世界一周クルーズ。この歴史は意外にも古く今から約140年前から始まっています。世界初のクルーズは1881年(1883年とも言われている)で、イギリスの鉄製汽船「セイロン」が最初になります。日本の年号だと明治14年もしくは16年ですから、かなり昔に感じますね。ちなみにタイタニック号は1912年に航海をしています。
さて、この時期の世界一周は、現在よりも過酷なルートを通っていました。なぜならパナマ運河ができていなかったからです。パナマ運河ができたのは1914年です。それ以前の世界一周航路は大西洋から太平洋に行くのに南米大陸の南端にあるマゼラン海峡を通るしかなかったのです。
マゼラン海峡の最狭部は約2kmと狭く、予測不可能な風や海流がたびたび発生するため海の難所でもありました。南緯40度から70度は風速や波の高さは半端ではなく、吠える40度、狂う50度、絶叫する60度とも言われています。マゼラン海峡は南緯52ですから当然、波風が高く、乗客はクルーズ船で優雅に過ごすという感じではなかったでしょう。加えて、南極にも近く寒い場所でもあります。快適な世界一周クルーズには不向きなルートだったのです。
パナマ運河が開通すると、クルーズ船は運河を通るようになり、航海期間も大幅に短くなりました。そして過酷な船旅をしないで済むようになった結果、世界中のお金持ちがクルーズ船で優雅な旅を満喫するようになったのです。
余談ではありますが、日本で初めての世界一周クルーズ船はいつ航海したのでしょうか。1973年2月14日とされています。横浜港を出航した初代「にっぽん丸」が最初のようです。約50年前ですね。
今回は、世界一周クルーズ船はいつから始まったのかを考えました。私もお金と時間の余裕があれば一度は乗って世界を旅してみたいですね。