私が小学生のころ、北海道の紋別から出ている流氷観光船ガリンコ号に乗ったことがあります。海が凍っているのを始めてみたので感動したのを覚えています。でも毎年やってくる流氷はどこで作られ、北海道にやってくるのでしょうか。今回はその点を考えます。
おそらく「ロシアから来るんだろう」と思っている方がほとんどだと思います。その通りです。オホーツク海の北の方、つまりロシアのシベリア沿岸部で作られ、季節風や海流に乗って北海道にやって来ます。詳しくは、シベリア(ロシアの陸地)から冷たい風が吹き、海岸で海氷が発生します。その後、海氷は沖に流され、カラフト海流に乗って、寒さで氷を厚くしながら北海道まで南下します。
また、オホーツク海の海水が凍るのには理由があります。オホーツク海にはアムール川(ロシア)から大量の淡水が流れてきます。すると海面は塩分濃度が薄く、海底は塩分濃度が濃い、という現象が起きます。つまり2層の海となるのです。塩分濃度が濃いと凍りにくいですが、上層は濃度が薄いため、シベリアからの冷たい風が吹くことで、氷が発生しやすくなるのです。
加えて、オホーツク海はシベリア、カムチャッカ半島、千島列島、北海道に囲まれていて、大きな湖のような海となっています。そのため、他の海と混ざりにくく、2層の塩分濃度の海が維持されるのです。
このような独特な地形や、2層の塩分濃度、シベリアからの冷たい風などの条件によって流氷が作られていくのです。網走あたりの緯度は44度で、フランスやドイツあたりと同じ緯度です。じつは、北海道の流氷は世界で一番低い緯度で見ることのできる場所なのです。
流氷がやってくると、漁業は出来なくなります。しかし、メリットもあり流氷の下では植物プランクトンがたくさん育っていて、それを食べにくる魚たちが多く北海道沿岸にやってくるので、流氷の時期が終わると漁師たちは良質な海産物が取ることができるのです。流氷は良質な海にするのに一役買っているということです。
ちなみに氷の妖精と呼ばれる「クリオネ」も流氷に乗って北海道に流れてきます。クリオネは羽を広げてパタパタと泳いでいますが、ハダカカメガイ科に属する貝の仲間です。