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領土紛争を解決するために努力した結果、酒を送ることにした国々とは?

写真はWikipedhiから参照 ハンス島

多くの国で領土を巡った争いが起こっています。日本でも竹島や尖閣諸島の問題がありますね。領土を巡る争いにはたびたび血が流れており、簡単には解決しないものです。それに伴い、相手の国への悪感情が生まれます。そんな解決が難しい領土争いですが、平和的に解決したものがあります。今回はその点を考えます。

 

領土を巡って対立しているのがデンマークとカナダです。地理の分かる方なら「ヨーロッパの国と北アメリカの国がどうして?」と思うに違いありません。多くの人がイメージするデンマークは、ドイツに接している比較的小さな国、というものでしょう。しかし、デンマークは世界最大の島であるグリーンランドも有しています。そのグリーンランドとカナダが国境を接しているのです。

 

両国の間にネアズ海峡があり、ちょうど海峡の真ん中に「ハンス島」という島が存在しています。その島の領有権を巡ってカナダとデンマークが争っているのです。ハンス島の面積は1.3㎢しかなく、無人島です。そして、島に何かあるわけでもなく岩の塊のような島ですので、植生もほとんどなく、鉱物資源にも乏しい島です。

 

なら「こんな島いらないだろ」と思ってしまいますが、将来大きな可能性を秘めた島となっています。地球温暖化が進むことで北極圏の氷が融け始めると、この島が北西航路の要衝に一変する可能性を秘めています。加えて、周辺の資源の開発や漁業権といった国益が生じる可能性が出てきたため、1970年代から両国が本腰を上げて領有権を巡って争うようになったのです。

 

しかし、カナダ軍とデンマーク軍が武器を持って、互いにドンパチすることはありませんでした。1984年にはカナダ軍がハンス島に上陸して、カナダ国旗を掲げました。その際ウイスキーのボトルを置いて挑発し、メッセージカードには「カナダにようこそ」と書きました。

 

そして今度はデンマーク軍がハンス島に上陸した際には、カナダ国旗を撤去して、デンマーク国旗を掲げます。その際シュナップス(蒸留酒)を置いて、メッセージカードには「デンマークへようこそ」と書いて置いておきました。こういったやり取りが何回も続きました。このやり取りを見て多くの人は「ウイスキー戦争」「蒸留酒戦争」「最も消極的な領土紛争」「最も有効的な戦争」と言いました。

 

そして2022年6月14日にハンス島を真ん中に国境線を引き、分割領有することで両国は合意しました。すんなりと解決です。なぜでしょうか。2022年2月にロシアによるウクライナ侵攻が起こり、それ以後ウクライナ各地で悲惨な様子が見られました。そこで、両国は領土紛争は平和的に解決できるというメッセージを世界に向けて発信したのです。

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