皆さんは富士山に登ったことがあるでしょうか。頂上は3,776mで、日本の最高地点でもあります。その標高の高さゆえに息苦しさを感じたり、高山病になったり、寒さに震えるなんてこともあるでしょう。人間が生活していく場所としては過酷な場所です。しかし世界に目を向けると、富士山の高さよりも高い場所に住んでいる人たちがいます。今回は、世界で最も標高の高い場所にある集落について考えます。
その集落がある場所は、南米ペルーのラ・リンコナダというアンデス山脈にある集落です。ここの標高がなんと5,100mに位置しており約50,000人が暮らしています。人間が生活していく上で過酷すぎる地に50,000人もの人々がいること自体驚きです。なんでこんな高い場所に住んでいるのでしょうか。
人々は好んでこの地に住んでいるわけではありません。ちゃんと理由があって住んでいます。それは、この場所に金鉱山があるからです。つまり、金が獲れるため人々が集まってくるのです。過去20年で金の価値は約5倍にまで上がり、金の価値の上昇に比例するように人々も集まり、集落を広げていきました。
鉱山で働く労働者たちに給料は与えられません。では何のために働いているのでしょうか。月の最終日に鉱山から持ち運べる限りの岩石を持ち出すことが許されています。その石にどれだけ金が含まれているかは運次第ではあります。金が含まれていなければ1か月間タダ働きになってしまうのです。ギャンブルみたいな仕事ですね。一攫千金を狙って貧しい労働者はこの地に移り住んでいくのです。
しかし標高の高さゆえ、赤道に近い場所にありながら年間平均気温は1.2℃でとてつもなく寒い場所です。なのに人々の住まいはトタンで作られた家という有様です。そして高山病の危険もはらんでいて死と隣り合わせです。なんとも過酷な場所ではないでしょうか。
それだけではありません。標高が高すぎてインフラを整えることができません。アスファルトで舗装された道路はほとんどなく、水道や下水道といった設備もありません。ゴミの収集もありません。そのため悪臭が漂っています。
このように世界で最も標高の高い場所にある集落は、過酷かつ非人道的な環境で働く人々の街だったのです。