皆さんのイメージだとトルコはアジアだと思いますか。それともヨーロッパだと思いますか。中東っぽい顔つきなのでアジアにも見えますが、サッカーのWカップ予選などではヨーロッパと戦っています。結局どちらなのでしょうか。
トルコは、ヨーロッパとアジアの両方にまたがる国です。国土の96％がアジアにあり、残り4％のヨーロッパ側ではギリシャとブルガリアと国境を接しています。首都アンカラはアジア側にありますが、最大の都市イスタンブールはボスポラス海峡を挟んでアジアとヨーロッパの両側にまたがっています。
トルコがアジアとヨーロッパの両方にまたがる理由は、歴史的に複雑です。トルコの民族のルーツは中央アジアにある遊牧民にありますが、紀元前6世紀にギリシャ人が現在のトルコに移住し、ギリシャ文化が定着しました。その後、ローマ帝国、ビザンチン帝国、オスマン帝国などの帝国の支配下に入り、さまざまな文化の影響を受けました。
人口の9割弱はアジア系です。マジョリティーを占めているのはトルコ人ですが、クルド人、アルメニア人などもいます。この地は昔から多くの民族が頻繁に往来した要衝の地であったこともあり、複雑で重層的な混血と混住の歴史を繰り返してきました。それゆえ一番人口が多いトルコ人であっても、なにをもってトルコ人なのか定義が分からないと述べているほどです。この点は日本人とは全く違いますね。
トルコがヨーロッパとアジアの両方にまたがる国であることは、政治的にも重要です。トルコはNATO（北大西洋条約機構）の加盟国です。しかしEU（欧州連合）には加盟できていません。なぜならトルコの人口の大部分はイスラム教徒であり、EUはほとんどがキリスト教国なのでトルコがキリスト教の基本的な教えに従えるのかと疑問に思っています。そのためトルコのイスラム教徒を受け入れることに消極的なのです。
最終的に、トルコがアジアに属するかヨーロッパに属するかという質問に対する正解も不正解もありません。トルコはどちらの大陸の文化的および地理的特徴も兼ね備えていて、両方の世界と強力なつながりを持っているからです。この多様性は、トルコの文化の豊かさと複雑さを物語っているのかもしれませんね。
