貴殿のふとした疑問に答えるブログ

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食料としての米と小麦の違いにはどんなものがあるの?

世界にはさまざまな穀物がありますが、その中でも特に生産量が多く、人々の主食となっているのが米と小麦です。しかし、これら二つの穀物はどんな違いがあるのでしょうか。また、それぞれの地域や文化にどのような影響を与えているのでしょうか?今回はその点について見ていきたいと思います。

 

米と小麦の栽培条件:

まず、米と小麦は栽培に必要な気候や土壌が異なります。米は高温多雨に適した作物で、水田で水を張って育てます。水田は水を貯めるために平坦な土地が必要で、また水を引くために用水路や堤防などの整備が必要です。とりわけ水が確保できないと米を作ることができませんので、乾燥地帯では難しいでしょう。米は主に東アジアや東南アジア、南アジアなどで栽培されています。

 

一方、小麦は米に比べて乾燥した気候や冷涼な気候に適した作物で、畑で耕作します。畑は水田よりも起伏があっても構わず、また水管理も比較的簡単です。そのため、小麦は主にヨーロッパや北アメリカ、中央アジアや西アジアなどで栽培されています。

 

米と小麦の生産量と消費量:

次に、米と小麦の生産量と消費量を見てみましょう。2019年の世界の生産量は、米が7億5547万トン、小麦が7億6360万トンでした。生産量では小麦がわずかに上回っていますが、消費量では米が5億8900万トン、小麦が5億5300万トンでした。消費量では米が上回っています。小麦を主食とする国は米を食べる国に比べて多いですが、米を食べる国は中国やインド、日本やベトナムなど人口の多い国で作られますので、さほど差が無いと思われます。

 

これは、米と小麦の輸出入の状況にも関係しています。米は自給的な性格を持っており、生産地で消費されることが多いです。2017年の世界の輸出量は4452万トンで、生産量に対して約5%しかありませんでした。一方、小麦は国際的な取引が盛んであり、2019年の世界の輸出量は1億7040万トンで、生産量に対して約22%もありました。小麦は加工食品としても有用な穀物ですので、輸入量が多いのです。

 

米と小麦の文化的影響:

一般的に言われることですが、米を主食とする地域では相互依存的で集団主義的な価値観が強く、小麦を主食とする地域では個人主義的で分析的な思考が強いと言われます。なぜなら、米作りでは水管理や労働力を確保するために農家同士の協力や調整が必要となり、米作りでは集団や伝統への帰属意識や忠誠心が重視されます。

 

一方、小麦作りでは他者との連携や調整が必要なく、自分で判断して耕作することが可能です。また、収穫後も保存や加工が容易なために市場経済への参加や流通が発達します。そのため、小麦作りでは個人が重視されます。

 

もちろんこれらは一概に言えることではありませんし、他にも様々な要因が影響しています。しかし、世界各地で見られる食文化や思想文化の違いを理解する上で、米と小麦という穀物から考えてみることも有意義なことでしょう。

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