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唯一、先進国から発展途上国になったアルゼンチンとは?

アルゼンチンは南米に位置し、サッカーの強豪国として知られ、メッシやマラドーナの出身国でもあります。アルゼンチンはかつて世界的な経済大国でしたが、現在は経済の不安定さで知られています。ノーベル経済学賞受賞者のサイモン・クズネッツが「経済には先進国、発展途上国、日本、そしてアルゼンチンの4種類がある」と述べました。日本は戦後発展途上国から先進国になった唯一の国ですが、アルゼンチンは反対に先進国から発展途上国になった唯一の国です。

 

アルゼンチンは過去50年間で経済の急上昇と暴落を何度も経験しました。今回は、アルゼンチンがなぜ何度も経済的な失敗を犯すのか、その背景を探ります。

 

まず、アルゼンチンの基本情報を見てみましょう。アルゼンチンは南米大陸の南端に位置し、国土面積は日本の約7.5倍で、人口は約4538万人です。アルゼンチンはトウモロコシや大豆などの穀物生産、ブドウやレモンなどの果実生産、そして牛の飼育が盛んです。

 

アルゼンチンの経済は1900年代初頭、農業を背景に非常に裕福な国となりました。多くの外国からの投資や移住者が増え、公共施設やインフラが充実し、経済成長を後押ししました。特にアルゼンチン産の肉やワインは高級品として評価され、輸出産業も発展しました。しかし、1929年の世界恐慌により、外国からの投資が減少し、経済的な打撃を受けました。この時期に経済の格差問題が深刻化し、1930年には軍事クーデターが起こり、軍事政権が国を掌握しています。

 

その後、アルゼンチンは国内需要に力を入れて自国の製品で自国の需要を満たす戦略を取りました。外国からの輸入を極端に減らしてしまいました。この戦略は一時的には成功し、比較的高い生活水準を維持できましたが、長期的には経済の不安定さを助長します。

 

貿易依存度を減らすだけでなく、政府が輸入品に高い関税を設けたため、外国からの製品が入ってこなくなります。そのため国内産業は外国の企業との競争力を失ったため過保護状態になってしまいました。加えて、政府が国有企業の従業員に高賃金を約束したため、ペソの価値が低下していき徐々にインフレが進行していくという悪循環が出来上がってしまいました。

 

また、アルゼンチンは外国からドルで借金をしていたため、借金返済のために大量の紙幣を印刷したことで、ますますインフレを引き起こしてしまいました。結果、スペインから独立してから9回もデフォルト(債務不履行=国の借金が返せなくなる)を起こしています。国の信用は無くなりますので9回と言うのは異常な事です。

 

しかし、経済はガタガタになっていますが、アルゼンチンは農業国ですのでインフレになってお金の価値が下がろうとも、ご飯は食べられる環境にあります。だから頑張って立て直そうという気も起きないのかもしれません。

 

アルゼンチンは急速な経済成長と同じくらい急激な崩壊を経験し、先進国から発展途上国へと転落してしまいました。今後、安定した経済成長を実現するためには、世界貿易への再参入や国内産業の競争力向上が必要ですし、民衆には痛みの伴う改革が必要になってくるのです。

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