今日は横浜と川崎を結ぶ短いけれど興味深いJR鶴見線についてお話ししたいと思います。工場地帯を走る鶴見線は、横浜市の鶴見駅から川崎市の扇町駅までを結ぶ本線と、2本の支線から成り立っています。全長はわずか9.7kmという短い路線ですが、魅力がたくさん詰まっています。
鶴見線の路線のほとんどは埋立地の上を走っており、13駅中5駅は埋立て事業に功績のあった人々の名前がつけられています。例えば、「浅野」駅は浅野財閥の創設者であり、埋立て事業の最大の功労者だった浅野総一郎さんにちなんでいます。浅野セメント(現在の太平洋セメント)の創始者です。
他にも、「鶴見小野」駅は大地主の小野信行さん、「安善」駅は安田財閥(日本四大財閥の一つ)の安田善次郎さん、「大川」駅は富士製紙社長(現在の王子製紙)の大川平三郎さん、「武蔵白石」駅は日本鋼管創業者(現在のJFEホールディングス)の白石元治郎さんの名前が使われています。小野信行を除く3人はすべて浅野総一郎とつながりのある方で、それらが駅名となっています。
鶴見線の利用者のほとんどは工場で働く労働者たちです。そのため、朝と夕方の通勤時間帯には5〜10分間隔で電車が運行されています。しかし、会社が休みになる土日には利用者が少なくなり、運行本数も極端に減ります。このように、鶴見線は平日と週末で利用状況が大きく異なる路線です。
ここで一つ豆知識を紹介します。駅が複数の路線にまたがっている場合でも、所属する路線は一つだけです。これは基本的に、駅が設置された時に開業していた路線がその駅の所属路線となるからです。鶴見線には13の駅がありますが、鶴見線に所属しているのは11駅です。起点の鶴見駅は東海道本線に所属し、浜川崎駅は東海道本線支線に所属しています。
鶴見線には、1日3往復しか運行されない区間もあり、その静けさはまるで大都会を走る路線とは思えません。そのため、鶴見線は「都会のローカル線」と呼ばれ、多くの鉄道ファンが訪れる独特の旅情を持っています。
鶴見線を楽しむ方法はいくつもあります。例えば、工場の景色を楽しみながらのんびりと電車に乗ることや、各駅にちなんだ歴史を学ぶのも楽しいでしょう。鶴見線に乗ると落ち着くといった鉄道ファンも少なくありません。一度、都会のローカル線に乗られてみてはいかがでしょうか。