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なぜ東京のゴミの島が「夢の島」と言うの?

夢の島公園

東京にある「夢の島」という場所、一見すると名前だけで夢のような場所を想像するかもしれませんが、実はその背景には皮肉な歴史があります。この場所は、かつて「東京市飛行場」という水陸両用の新空港を作るために埋め立てられました。完成予定は1941年でしたが、太平洋戦争が拡大し、物資不足のために工事が進まず、戦争が終わるとともに計画も消えてしまいました。

 

戦後、羽田空港がメインの空港として使用されることが決まり、この新空港の計画は完全に頓挫します。しかし、その後1947年に、夢の島はリゾート地として開発され、「東京のハワイ」として海水浴場がオープンしました。この海水浴場が「夢の島海水浴場」と名付けられたことが、現在の夢の島の名前の由来です。

 

しかし、夢の島海水浴場も長くは続きませんでした。1949年に関東を襲ったキティ台風の被害で財政的に苦しくなり、1950年には閉鎖されました。そして、しばらくの間放置されていたこの場所は、1957年にゴミの最終処分場として利用されることになります。高度経済成長期にともない、東京から出る大量のゴミがここに集められたのです。

 

その結果、生ゴミが大量にたまると悪臭が発生し、ハエが大量に発生するという事態に。メディアでも大きく取り上げられ、1965年には自衛隊と消防庁が共同でごみを焼却する「夢の島焦土作戦」が実施されました。こうして「夢の島」は、飛行場やリゾートの夢の残骸から「ゴミの島」へと変わり、多くの人々にその印象が定着しました。夢の島の名前は、まさにかつての夢の名残から来ているのです。

 

現在の夢の島は、かつての「ゴミの島」のイメージを一新し、環境保護やリクリエーションの場として再生されています。夢の島公園や夢の島熱帯植物館など、自然と触れ合える施設が整備されており、多くの人々が訪れる場所になっています。JR京葉線の新木場駅の目の前にあります。かつてのゴミ埋立地だった場所が、今では美しい緑地や施設に変わり、環境教育やレジャーを楽しむことができるスポットとなっているため、昔ここがゴミ捨て場であったことを知らない方も多いのではないでしょうか。

 

また、スポーツ施設やバーベキュー広場もあり、休日には家族連れや友達同士で楽しむ人々でにぎわいます。このように、夢の島は再び「夢」を与える場所へと生まれ変わり、過去のゴミのイメージを払拭しつつ、新たな都市の憩いの場として機能しています。

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