北海道と聞くと、どこまでも続く広い大地、美しい自然、そして澄んだ空気を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。地図を見ても、日本の中で最も面積が広い都道府県であり、その約83,000平方キロメートルという広さは、なんと四国4つ分以上に相当します。
それにもかかわらず、北海道には東京や大阪のような大都市がありません。札幌市が唯一の「政令指定都市」ではありますが、他の地域は人口が少なく、広大な土地にぽつぽつと町や村が点在している印象です。
「どうしてこんなに広いのに、大都市が増えないの?」という疑問には、いくつかの重要な理由があります。
1. 厳しい気候が人の集まりを制限している
まず大きな理由は「気候」です。北海道の冬はとても長く、厳しい寒さと大量の雪に見舞われます。特に内陸部では−20℃を下回る日もあります。これにより、冬の生活コストが高くなるだけでなく、物流や建設などのインフラ整備も時間と費用がかかります。
たとえば、東京では1年中スムーズに工事ができますが、北海道では冬の間は建設が難しいため、都市開発のスピードが遅くなりがちです。さらに、雪かきや暖房など、暮らしにかかる手間や費用も考えると、大都市に成長するには不利な条件が揃っているのです。
2. 歴史的に新しい土地である
北海道が本格的に開発され始めたのは、明治時代以降のことです。東京や大阪、京都のように何百年も前から人が住んでいた地域とは違い、開拓の歴史が浅いため、大都市としての土台がまだ整いきっていない面があります。
明治政府は北海道を「開拓」するために、屯田兵制度を使って人を送り込みましたが、それでも人口が一気に増えることはなく、点在する小さな集落が中心の地域として発展していきました。つまり、スタート地点が遅かったことが、大都市の形成に影響しているのです。
3. 人口が分散しやすい地形
北海道はとても広く、山や川、海に囲まれた自然豊かな地形です。この地形は、農業や漁業にとっては大きな恵みですが、一か所に大量の人が集まりにくいという特徴もあります。
たとえば、東京や大阪のように平野部が広くて、交通網を一極集中しやすい地域では都市化が進みやすいです。一方、北海道では人が住みやすい土地が分散しており、それぞれの地域で独自の暮らしが営まれています。このように、人の流れが一極集中しにくいため、大都市が育ちにくいのです。
4. 地震や火山などのリスクも考慮されている
意外と知られていないのが「災害リスク」の存在です。北海道は比較的地震が少ない印象を持たれがちですが、実際には2018年の胆振東部地震など、大きな地震も発生しています。また、道内には活火山も多く、災害への備えが必要な地域も少なくありません。
都市を発展させるには、大規模なインフラ整備が欠かせませんが、災害リスクの高い地域では、その投資が慎重にならざるを得ないのです。
それでも注目される「北海道のポテンシャル」
では、北海道には未来がないのか?というと、そんなことはありません。近年では、テレワークの普及や地方移住への関心の高まりにより、札幌市や旭川市、帯広市などへの移住者が増えつつあります。
また、農業や観光といった地域資源を活かしたまちづくりも注目されています。広大な土地を活かして、再生可能エネルギーやIT技術を組み合わせた「スマート農業」の実証実験なども行われており、新しい可能性が広がっています。
まとめ:広さ=大都市ではない理由
北海道には確かに広い土地がありますが、それだけでは大都市は生まれません。気候や歴史、地形、そして自然との関わりが複雑に影響し合って、現在の姿が形作られているのです。
しかし、その中でも北海道は確実に進化を続けています。未来の日本で、北海道がどのような形で注目されていくのか、これからも目が離せません。