パイロットたちは、会社の規則に従って制服と帽子(制帽)を着用しています。ビシッとしていて、空港内を颯爽と歩いている姿はかっこいいですよね。この制帽は、世界中でパイロットであることを示すための共通ルールとなっています。制帽には、一目で機長と副操縦士を区別できるように、機長の帽子のつばには金モールが入っていることも特徴です。
さて、コックピットでの操縦中にパイロットは帽子をかぶっているのでしょうか?実は、コックピット内では制帽をかぶりません。なぜなら、コックピットの天井にはビッシリと計器やスイッチが並んでいるからです。もし帽子のつばがスイッチ類に触れたら大変ですので、みんな帽子をとることになっています。また、通信用のヘッドホンを装着するため、帽子をかぶることができません。
では、帽子は単なる飾りなのでしょうか?実はそうではありません。帽子が必要になるのは飛行機の外での点検時です。機長と副操縦士は、飛行機に乗り込む前に、機体の外部点検を必ず行います。地上から機体を見上げて点検するのですが、もし機体からオイルや油圧液が漏れていたら、目に入ってしまう可能性があります。そのため帽子のつばで目を守るという役割があるのです。
さらに、機長は雨の日でも傘をささず、その代わりに帽子が雨よけの役割を果たします。雨がひどい場合はレインコートと帽子のカバーを着用して確認しています。傘は機体を見る際に邪魔になったり、機体を傷つけたりする恐れがあるからです。このように、パイロットの帽子は単なる飾りではなく、実際には重要な役割を果たしているのです。
この制帽の起源をたどると、海軍の制服に行き着きます。航空業界が発展し始めた初期には、パイロットの制服が海軍の制服に影響を受けていました。そのため、キャプのデザインも海軍の制帽に似ており、威厳や責任感を表現するために採用されたようです。制帽は単なるアクセサリーではなく、保護する役目やパイロットとしての誇りや責任を表現する重要なアイテムなんですね。