写真はwikipediaから引用(JATユーゴスラビア航空ダグラスDC-9-30)
皆さんはどのくらいの高さからジャンプしたことがありますか?1メートル以上になると高いなと感じるかもしれません。2メートルとなるとジャンプするのは怖いと感じるでしょう。場合によっては骨を折ってしまいかねませんね。高ければ高くなるほど怪我や命を落とすリスクが高くなります。では、最高どのくらいの高さから落ちて無事生還した人がいるのでしょうか。
皆さんヴェスナ・ヴロヴィッチという女性をご存知でしょうか。おそらくほとんどが知らないと思います。しかしこの女性はギネスにも載っている人で、高度10,160メートルからパラシュートなしで落下するも無事生還した人です…。ん~ちょっと意味が分からないですよね。
そもそもなぜ高度1万メートルのところにいたのでしょうか。この女性は旧ユーゴスラビア(現セルビア)の航空会社であるJATユーゴスラビア航空の客室乗務員でした。事が起きたのは1972年1月26日、ダグラスDC-9-30旅客機が飛行中にクロアチア国家主義者が仕掛けた爆発物によって機体が爆破されてしまいました。テロ事件ですね。
この機体には乗員6名と乗客22名が搭乗していました。高度1万メートルですので当然全員が亡くなったと思われましたが、奇跡的に客室乗務員であったヴェスナ・ヴロヴィッチ(当時は22歳)だけが墜落の衝撃による身体各所の複雑骨折を負いながらも奇跡的に救出されたのです。
色々な好条件が重なったおかげで亡くならずに済みました。①ヴロビッチさんは爆発で空中分解した機体の後部に閉じ込められていたこと②山の斜面にある木々をすべるように着地したこと③墜落から45分後に救助隊に発見され、即座に輸血を受けたことで出血多量による死を免れたこと、などが重なったからです。それでも命が無事だったことは奇跡としか言いようがないでしょう。
この事故によって、ヴロヴィッチは頭蓋骨1か所、脚2か所、椎骨3か所を骨折し、1か月近く意識不明の状態が続きました。一時は腰から下が麻痺してしまうなど重体だったことが分かります。しかしこの女性が凄いのは手術をし、回復した後にまた飛行機に乗って乗務をしていることです。普通なら怖くて乗れないと思いますけど、衝突の記憶がないので乗務できたとのことです。すごい方ですね。
後に、パラシュート無しで落下した距離が世界最長記録だったとしてギネス世界記録に認定され、ポール・マッカートニーから授与されています。ヴロヴィッチは2016年12月23日に66歳で亡くなられました。今回は上空1万メートルから落下し奇跡的に助かった女性について書かせていただきました。