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近世日本の港町に共通しているものって何?

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写真は横浜港

 

皆さんは港町といったらどこをイメージしますか。函館や横浜や神戸などでしょうか。これらは明治時代から日本を代表する港町で現在でも重要な港湾都市として機能しています。

 

さて、これらの港町に共通しているものがあります。それは地形です。港町になるにはどんな特徴を持っているのでしょうか。

 

①海の背後に山や丘が存在する

横浜や長崎、佐世保や神戸、函館もそうですが平地ではなく山に囲まれていませんか?“山手”“山の手”という地名もこれらの都市にあります。なぜ山や丘がある場所に港ができるのでしょうか。小さな船なら問題ありませんが、外航用の大型船を停泊させるには喫水線といって船が沈んでいられるだけの水深が必要となります。そのような水深があるのは、山が急に海に落ち込む地形となります。水深がない浅瀬では大型船の着岸はできません。そういった理由から港町は傾斜地(坂)が多くなります。

 

②湾になっている

外洋に面している場所と違い、湾になっている港は大波を避けることができます。それゆえ船舶も安定して接岸&係留することが可能となります。また、湾があるということは海岸線が長くなることを意味しています。海岸線に沿って港湾設備を設けることができます。それと同時に街自体も海に沿って作ることができますので、人や物が集まりやすい場所に発展していきます。

 

③幕末から明治時代に世界に向けて開港している

物流の拠点として港町は古くから栄えている町が多く、横浜・長崎・函館・神戸は江戸時代末期には他の町に先駆けて世界に向け「開港」しています。明治に入ってからは新潟港が開港し、外国の船を受け入れています(河口港だった新潟港は水深が浅く外国人からは不評だった)。こういった早い段階で外国船を受け入れた港は貿易で財を成した人が多く、またたくさんの外国人が居留したこともあって異国情緒を感じられるおしゃれで高級感のある街並みや文化が生まれていきました。

 

本来であれば、人が多く住んでいた東京や大阪に港を作りたかったでしょうが、東京は荒川・多摩川・江戸川・隅田川が、大阪は淀川・大和川という大河川の河口に位置しており、河川から運ばれてきた土砂で陸地が形成されています。ですから街に接する海も遠浅で大型船を係留するには水深が不十分でした。かといって海底の土砂を大量にすくい取って深さを確保したり、埋め立てで陸地を沖へ出して埠頭を造るとなると、高い土木技術と莫大な資金が必要となります。それゆえ東京や大阪に近い横浜や神戸は港町として早い段階から重宝されてきたのです。

 

今回は港町の地形やいきさつなどを簡単にまとめました。

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