日本の船の特徴として、船尾に〇〇丸と命名してます。特に漁船や商船などでは多く見受けられます。クルーザーやヨットなどは英語やカタカナが用いられていることが多いですが、それでも“丸”を付けている船を多く見かけます。海外でも「マル・シップ」として認知されています。ではなぜ“丸”なのでしょうか。
これは長年の習慣が関係しています。強制ではありませんでしたが、かつての船舶法では「船舶の名称にはなるべくその末尾に丸の字を付せしむべし」と書かれていました。平成13年にこの条項は削除・廃止されていますので“丸”を付けなくてもよくなりました。
では最初に“丸”を付けたのはいつのことでしょうか。記録が残っている最古のものは1187年京都の仁和寺にある古文書に書かれている「坂東丸」だそうです。語源やいわれは諸説あります。
- 中国の皇帝の時、天から降りて船を造ることを教えた白童丸の丸を採った。
- 麿(まろ)から転化した。(麿から丸に転じ、船にもつけるようになった。)
- 封建時代に屋号を用いた丸から転用された。
- 豊臣秀吉が巨船を造って日本丸と名付けたのが起こりである。
このように説はいくつかありますが、江戸時代にはかなりの船に“丸”が付けられるようになりました。では、どんなものに付けられたのでしょうか。船の形態、建造地、建造者、屋号、寺社名、地名、人名など多岐にわたっています。
ではどんな船が有名でしょうか。
・にっぽん丸 - 商船三井客船運航の外航クルーズ客船
・氷川丸 – 横浜の山下公園に停泊している貨客船
・咸臨丸 – 江戸幕府が所有していた軍艦
・第五福竜丸 – アメリカの水素爆弾実験で放射性降下物を浴びたマグロ漁船
・ポテト丸 – ジャガイモを運ぶコンテナ船(カルビーの商品でつかうジャガイモを運んでいる)
これらの船の名前は有名なので一度は耳にしたことがあるかもしれません。皆さんの地元にも“〇〇丸”と付けられた船はあるでしょうか。あらためて船の名前を見てみるのも面白いかもしれませんね。