2階建てバスと言ったらどこを思い浮かべますか。おそらくイギリスのロンドンか香港を思い浮かべるのではないでしょうか。そして2階建てバスに乗ってみたいという憧れを持つ方も多いのではないでしょうか。迫力があってかっこいいですよね。でも日本ではほとんど見かけません。たまに夜行バスで見る程度です。なんで日本では走っていないのでしょうか。
日本においても、2階建てバスのブームはありました。1980年代の好景気も相まって1981年(昭和56年)に上野と浅草のあいだに定期運用の2階建てバスを走らせました。東京観光にはもってこいのバスです。また1989年(平成元年)からは小岩駅と葛西臨海公園駅のあいだに2階建バスを運行しています。しかしこれら2階建てバスの定期路線は2000年と2001年に廃止されてしまいました。
2階建てバスは観光にもピッタリだし、多くの人も運べるメリットがあるのでもう少し根付いてもよさそうですが、そうならなかったのはなぜでしょうか。それは法律の制限が厳しかったからです。
日本の車両制限令では、バスの車高は原則3.8メートル以下と決められています。対してロンドンや香港では全高制限が4メートル以上となっています。20センチの差は大きいですね。そのため、日本においてはどうしても圧迫感のある室内になってしまうのです。とりわけ2階部分は1.7メートル程度となりますので、通路を歩くためにかがむ必要がでてくるのです。
このように高さに制限があるため、路線バスのように座席が埋まって立たなければならない人は中腰で辛い姿勢をとることになります。加えて、走行中に頭をぶつけてしまう恐れがあるので、路線バスには2階建てバスを使えないのです。ハイデッカー車やスーパーハイデッカー車であれば、高い目線で景色も楽しめますし、居住性も良いのでわざわざ2階建てバスにする必要はないのです。
では2階建てバスはもう走らせていないのか、といえばそうでもなく、高速バスや定期観光バスなら、立席を設ける必要がありませんので2階建てバスを走らせています。話題性もありますし、東京と大阪を結ぶ夜行バスは需要も大きいので2階建てバスを走らせるメリットもあります。最近は2階部分の屋根がないオープントップバスを走らせる事業者もいます。解放感と眺望を楽しめるバスで、いわゆるオープンカーのバスバージョンと言えるでしょう。