昨今の日本では少子化が叫ばれていますが、昔は子供が街中にたくさんいたという話をよく聞きます。それは大正時代、明治時代、江戸時代でもそうです。では、なぜ昔の人々は今よりも多くの子供を産んだのでしょうか?実はその背景にはいくつかの理由があります。
まず、大きな要因として「高い乳幼児死亡率」が挙げられます。昔は医療が今ほど発達しておらず、簡単な病気でも命を落とすことが多かったのです。特に幼い子供は病気にかかりやすく、生き残れる保証が少なかったため、親たちは多くの子供を産むことで、家族が存続する可能性を高めようとしていました。実際に、生き残る子供の数が少ない時代には、子供が多いことが生命保険のような役割を果たしていたと言えます。
もう一つの要因は「労働力の確保」です。農業や手工業が中心だった昔の社会では、家族全員が働かなければ生活が成り立ちませんでした。子供たちは家事や農作業を手伝い、家庭を支える重要な働き手として期待されていました。多くの子供がいると、家の手伝いや畑仕事を助けてもらえ、生活がより豊かになると考えられていたのです。さらに、親が年老いて働けなくなった時に、子供が親を支えるのが当たり前とされていた時代です。現代のように老人ホームなどはありません。それで、多くの子供を産むことは、老後の保障としても意味があったのです。
また、「宗教や社会的な価値観」も影響を与えていました。多くの文化や宗教では、子供をたくさん産むことが祝福とされていました。例えば、農村社会では大家族が繁栄の象徴とされ、多くの子供を持つことでその家族が強く尊敬されました。大家族は地域社会での役割も大きく、祭りや行事での活躍が期待されるなど、子供が多いことで得られる社会的な利点もあり、たくさんの子供がいる家族は、それだけで社会的な地位も上がり、尊敬を集めることができたのです。
加えて、昔は今ほど教育が普及していなかったため、結婚や出産の年齢が若かったということも理由の一つです。若い年齢で結婚すると、子供を産む期間が長くなり、その結果、子供の数も増えていきました。
今の時代は機械化やIT化が進み、たくさんの人手が必要な業種は少なくなりました。昔の人々は生活や社会の維持のために、多くの子供を産むことが必要がありましたが、1970年代以降、「核家族化」が進み、1つの家庭で持つ子供の数も減っていきました。この時期からは、2人から3人の子供が一般的な家庭の形となり、年を重ねるにつれ少子化が進むようになりました。その後、女性の社会進出も増えることで晩婚化が進み、子供を産める期間が短くなったことも一因として挙げられます。つまり国が発展していけば、少子化になるのは必然なんですね。