
「関税ってニュースでよく聞くけど、結局なに?誰のためのもの?」「関税戦争って、どんな戦いなの?」
そんな疑問を持ったあなたへ、今回は“関税”の正体と、アメリカのトランプ大統領が仕掛けた“関税戦争”の背景を、わかりやすく解説します。専門用語は極力かみくだき、想像しやすい例えを交えてお伝えしていきます。
そもそも「関税」って何?
関税とは、海外から商品を輸入する際にかかる“特別な税金”のことです。たとえば、アメリカの企業が中国からスマートフォンを輸入する場合、政府が「その商品1個につき20%の関税をかけます」と決めれば、企業はその分多くお金を支払わなければいけません。
この税金の目的は主に2つあります。
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自国の産業を守るため
安い外国製品が大量に入ってくると、自国の企業は価格競争に負けてしまいます。そこで関税をかけて、外国製品の価格を高くし、自国の製品が売れやすくなるようにするのです。 -
政府の収入にするため
関税で得たお金は国の収入になります。道路や学校など、公共のサービスに使われることもあります。
トランプ大統領が始めた「関税戦争」とは?
2018年、アメリカのトランプ大統領は、中国をはじめとする国々に高い関税をかけ始めました。
その目的は、「アメリカ第一主義(America First)」の名のもとに、アメリカの製造業を復活させることでした。
とくに中国製品に対しては大規模な関税を導入し、「中国にアメリカの仕事を奪われている」という主張を掲げました。これに対して中国も反発し、「じゃあアメリカ製品にも関税をかけるぞ!」と応戦。こうして、関税の応酬が続く“貿易戦争”が始まりました。第2次トランプ政権でも各国に関税をかけています。
関税で得するのは誰?
一見、関税をかければ自国にとってプラスばかりのように見えますが、実際にはそう簡単ではありません。得をするのは以下のような人たちです。
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自国の製造業者
海外からの安い商品に対抗せずに済むため、自分たちの製品が売れやすくなります。 -
一部の政治家
「国を守った」という実績を示しやすく、支持率アップにつながることがあります。
でも、損をするのは…?
ここが重要なポイントです。関税には必ず「ツケ」が伴います。
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消費者(私たち)
関税で輸入品の価格が上がると、スーパーや家電量販店の商品も高くなります。スマホや冷蔵庫、洋服までもが影響を受けるのです。実は、輸入品の関税が高くなると、価格が上乗せされた商品を消費者が買わなければならなくなります。 -
輸入業者や小売業者
仕入れコストが増えるため、利益が減ったり、値上げをせざるを得なかったりします。 -
他国との関係
一方的に関税をかければ、相手国も対抗して報復関税をかけてきます。これが繰り返されると、両国の貿易が冷え込み、経済全体に悪影響が出ることも。
トランプ氏の関税戦争の“結末”は?
結果として、トランプ政権下の関税政策は、短期的にはアメリカ国内の一部製造業を支えるかもしれませんが、同時に多くの企業に打撃を与え、消費者の負担も増加します。物価が上がればインフレにもなるのです。
特に農業分野では、報復関税によって中国への輸出が減ったため、政府が補助金を支給して支える場面もありました。つまり、「アメリカを守る」ために始めた政策が、逆にアメリカ国内でのコストを膨らませたとも言えるのです。
関税は“薬”にも“毒”にもなる
関税は、うまく使えば国の産業を守る盾になりますが、使い方を間違えると国民の生活を苦しめる刃にもなり得ます。
グローバルな時代において、どこか1つの国だけが勝ち続けることは難しく、貿易はまさに“つながり”でできています。そのバランスをどう取るかが、今後の世界経済のカギとなるでしょう。
最後に:ニュースの裏側を想像しよう
ニュースで「関税」や「貿易戦争」という言葉が出てきたら、「これは誰が得して、誰が損しているのか?」と一歩立ち止まって考えてみてください。
その視点を持つことで、世の中の動きがもっとリアルに感じられるはずです。そして、「なんとなくわからない難しい言葉」が、きっと身近で興味深いものに変わるでしょう。