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生きるものをことごとく遠ざける死の湖 死海

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写真はWikipediaから参照:死海

 

皆さんのほとんどは海水を舐めたことはおありだと思います。「しょっぱい」としか言いようがないでしょう。ちなみに海水の塩分濃度は約3%です。それでもしょっぱく感じ、とても飲もうとは思いません。では塩分濃度が平均30%の水はどうでしょうか?

 

塩分濃度が平均30%もある水があるのは、中東にある死海です。学校でも少し習ったかもしれません。死海は現在のイスラエルとヨルダンの国境に挟まれている塩湖でもあり、塩分濃度が高いゆえ世界一浮力の強い湖となっています。プカプカと死海に浮かんでいる人の写真など見たことがあるかもしれません。

 

塩分濃度が非常に高いため、死海の中で生き続けられるのは耐性のあるバクテリアなどの単純な生物だけで,不運にも流れ込んで来た魚はすぐに死んでしまいます。生命が生きられないという理由から死海と呼ばれています。

 

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写真はWikipediaから参照

 

死海の塩分濃度が高いのが注目されがちですが、ほかにも特筆すべきものがあります。それが地球の表面で最も低い場所にあるということです。死海の湖面は海面より420㍍ほど低いのです。これが何を表すかというと、湖の水はどこにも行き場がないということです。水は低い方に流れていきますが、地球上で一番低い位置にあるということは水が溜まり続けることを意味します。

 

しかし死海の水はあふれません。なぜなら蒸発するからです。流入している川はヨルダン川のみで、この地域の年間降水量は50mmから100mmと極端に少なく、また気温は夏が32°Cから39°C、冬でも20°Cから23°Cと非常に高いため、湖水の蒸発が水分供給を上回る状態になっています。そのため高い塩分濃度が生まれていきました。塩は周辺の土壌が雨で削られたり、温泉が湧き出る部分から出ているようです。

 

もし、死海の水を飲んでしまったらどうなるでしょうか。体内のナトリウムバランスが急速に崩壊する可能性があり、内臓に化学熱傷を引き起こすとのことです。湖水が肺に入ってしまうと肺炎に類似した肺機能障害を引き起こして死に至る場合もあるようです。間違っても興味本位で飲んではいけませんね。また、傷口があると塩の成分で激痛が伴いますのでその点も気を付けなければなりません。

 

死海は怖いイメージがありますが、死海沿岸のミネラル豊富な黒い泥と硫黄温泉は様々な皮膚病や関節疾患の治療に用いられています。また死海の塩を使った石鹸や化粧水、バスソルトなども人気の商品となっています。このように観光客を含め、疾患を癒しに訪れる人、美容目的の人も少なくありません。

 

死海は最も塩分濃度が高く、地表面で最も低く、最も死のイメージがありますが、健康的な湖でもあります。地球上で最も興味をそそる湖の一つとも言えるでしょう。

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