貴殿のふとした疑問に答えるブログ

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なぜ砂不足と言われているのに、砂漠の砂を使わないの?

マンションやビル、道路や橋などに使われているコンクリート。このコンクリートを作るには砂が不可欠なのですが、昨今、世界中でインフラ構造物が造られているため、砂の奪い合いが起きています。でも、砂漠に行けば砂が余っているように感じますよね。しかし、実は砂漠の砂は、建設や製造に必要な砂とは大きく異なります。この記事では、その違いと、なぜ砂不足が深刻な問題なのかを解説します。

 

まず、砂漠の砂と海や川の砂の違いについてですが、主な違いは形と粒径です。砂漠の砂は、風によって長い間削られているため、表面が滑らかで丸くなっています。一方、海や川の砂は、水によって運ばれているため角が丸みを帯びており、サイズに統一感があるのが特徴です。この形の違いが、砂の用途に大きく影響します。

 

例えば、コンクリートを作るときには、水やセメントと混ぜて固めますが、このときに砂同士が絡み合って隙間を埋めることが重要です。しかし、砂漠の砂は粒が小さく滑らかなので、絡み合わずに隙間ができてしまいます。そのため、コンクリートが弱くなってしまいます。一番質の良いのは川の砂で、海の砂は塩分が含まれているので、除塩をしてから使います。

 

では、海や川の砂は十分にあるのでしょうか?残念ながら、そうではありません。実は、世界中で毎年約500億トンもの砂が消費されています。この消費量は年々増加しており、特にアジアやアフリカでは急速な都市化やインフラ整備に伴って需要が高まっています。

 

しかし、海や川の砂は無限にあるわけではありません。自然に形成される速度よりも採取される速度の方がはるかに早いため、世界各地で砂不足が深刻化しています。特にインドネシアやベトナムでは河川や海岸から過剰に採取されており、生態系や景観に大きな影響を与えています。また、採取するために違法な手段を用いる者も多く、暴力や汚職など社会問題も引き起こしています。

 

砂不足は、私たちの暮らしにも直接的に関わっています。砂が不足すると、建設や製造のコストが上昇し、住宅やインフラの価格も高くなります。また、砂が不足すると、海岸線の浸食や洪水のリスクも高まります。これは、気候変動による海面上昇や豪雨によってさらに悪化する可能性があります。

 

では、どうすれば砂不足を解決できるのでしょうか?一つの方法は、砂の代替品を開発することです。例えば、建設廃材やプラスチックなどを再利用して砂に似た素材を作ることができます。また、砂を使わないでコンクリートやガラスを作る技術も研究されています。しかし、これらの方法はまだ実用化されていないか、コストが高いか、品質が低いかなどの問題があります。もう一つの方法は、砂の消費量を減らすことです。例えば、建設や製造において、必要最小限の砂を使うように効率化することができます。

 

砂なんてどこにでもありそうですが、そうではないんですね。限られた天然資源ですので大切に使いたいものです。

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