貴殿のふとした疑問に答えるブログ

ふと疑問に思う「なぜ?」「どうして?」「〇〇って何?」に答えるブログです。

カフェ・ソスペーゾの助け合いの精神はこれからの日本でも必要となるのか?

初めて聞く方は、「カフェ・ソスペーゾ? 何それ美味しいの?」状態だと思いますが、カフェ・ソスペーゾ(caffé sospeso)はイタリア語で、英語で言えば「サスペンデッド・コーヒー」、日本語なら「保留コーヒー」と呼ばれています。あまり聞きなれない言葉ですが、コーヒーに関係があることは間違いありません。これは何でしょうか。

 

カフェ・ソスペーゾというのは、自分のコーヒー代金に加えて、さらに見知らぬ金銭的に恵まれない人のコーヒー代を事前に払うことを指します。イタリアのナポリ発祥です。ここのポイントは親族や友人ではなく、自分の知らない誰かさんのためにコーヒー代を払うということです。つまり、助け合いの精神に基づいておごってあげる運動です。

 

イタリアの南部の都市ナポリは、観光地としても有名で風光明媚な街で見どころも多く、食事も美味しいところです。しかし経済的なもので言えば北部のミラノなどに比べると貧しい地域でもあります。そのため、北部イタリア人は南部イタリア人を見下げる風潮があります。セリエAのサッカーの試合でも、ヒートアップした北部チームのファンによる差別用語が飛んで来る時があるようです。

 

このように、貧しい人が比較的多いナポリで、助け合いの精神を示すカフェ・ソスペーゾの習慣ができました。コーヒー代金を払えない人は、見知らぬおごってくれた人に対して感謝したことでしょう。おごった人も、見知らぬ誰かが自分の払ったコーヒー代で幸せな時間を過ごせたんだと考えると嬉しい気持ちになります。お互いがウィンウィンになるのです。

 

とりわけキリスト教国では、イエスが言った「受けるより、与えるほうが幸福です」という教えを知っていますので、抵抗なくそのような善意の行動をとれるのでしょう。

 

現在日本でも格差が広がっています。比較的貧しい家庭の子供に対して、フードバンクや子ども食堂などが作られるようになってきました。自分の知らない子供ではありますが、その子たちが温かい食事を食べて喜んでくれるなら寄付しよう、支えようという輪が広がっているのはとても良い事です。物価が上がり、経済的に困っている方は大勢いるに違いありません。

 

まだ日本では、お店に入って「困っている方にこのお金でコーヒーを」と言っても、カフェ・ソスペーゾの認知度が無いので、店員も困惑してしまうかもしれませんが、困っている人のために自分にできることを何か行うなら、自分も見知らぬ誰かも幸せになることでしょう。

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