皆さんのお住まいの地域にも川が流れていることでしょう。最初は水量の少ない川だったとしても、次第に他の河川に合流して、最終的には海にたどり着くはずです。例えば、栃木県を流れている鬼怒川も、最後は利根川となって海に行きます。川とはそういうものだと思っていましたが、実は海まで届かない川もあるのです。ではその川に水はどこに行くのでしょうか?
カスピ海
中央アジアと東ヨーロッパの境界にある湖です。そしてカスピ海は世界最大の湖でもあります。カスピ海にはヴォルガ川、ウラル川、クラ川、テレク川など130河川の水が流入していますが、海には行かずカスピ海が終点です。それだと湖の水が溢れてしまいそうですが、実はほとんどが蒸発してしまいます。
オカヴァンゴ川
アフリカの南西部アンゴラ平原を水源としているオカヴァンゴ川。面白いのはこのオカヴァンゴ川は湖にはならず、砂漠が終点となります。どういう事かと言うと、カラハリ砂漠まで川の水が流れますが、砂漠の砂の中にしみこんで蒸発してしまいます。その砂漠には多くの水が入ってくるため、オカヴァンゴ・デルタと呼ばれる湿地帯をつくっています。
オニックス川
南極大陸を流れるオニックス川。この川は南極最大の川で40キロメートルの長さになり、ブラウンワース湖から海と反対方向のバンダ湖まで流れます。オニックス川は常時流れている川ではなく、南極という立地ゆえ夏季限定で現れる融氷水の川になります。この終点にあるバンダ湖は海水の10倍以上の濃度の塩分を持つ塩湖です。
このように、最終的に海にまで到達しない川を内陸河川と言います。実は世界には内陸河川は多く存在し、世界の25の大きな湖のうち6つの湖は海まで行きません。先ほど紹介したカスピ海、トゥルカナ湖、チチカカ湖、イシククル湖、バルハシ湖、ウルミア湖になります。出口のないこれらの湖は内陸湖と言います。
これら内陸湖にはいくつかの川の水が流れてきますが、盆地や低湿地にあるため水はそこにとどまります。内陸湖は内陸にあることから降雨が少なく乾燥地帯にあるため水分は蒸発しますが、ミネラル分は残るため、淡水湖ではなく塩湖となります。
水の循環システムというのは不思議かつ、うまく回っているんですね。