軍隊は、敵国への侵略または国の防衛を行うために組織されています。ほとんどの国は軍隊が存在しています。その中でも異色なのが軍楽隊です。つまり軍隊に属する音楽隊のことです。彼らは戦うわけでないのに何で組織されているのでしょうか。
日本で最初に軍楽隊ができたのは明治4年のことです。薩摩藩の若者30人がイギリスの軍楽隊から習ったことが始まりとなっています。もともと戦場における自軍の士気向上や情報伝達のために音楽が使われていたのです。軍楽隊が無かった戦国時代でもホラ貝を吹いているシーンなど目にしますが、これも同じです。
第一次世界大戦以前は、銃の命中率も低く、機関銃も無かった時代です。なのでメインは歩兵によって敵を倒すことでした。一列に陣形を組み突撃するわけですが、相手の射撃でおじけづいたり、逃げてしまわないよう後方にいる軍楽隊は勇ましい音楽によって士気を高めていたのです。
第二次世界大戦になると、兵器の発達によって陣形や接近戦はあまり意味をなさなくなりましたので、士気高揚のための音楽はさほど役には立たなくなりました。自軍の兵士たちに音楽が聞こえるよう前に進めば飛び道具(砲撃や銃撃)によってやられてしまう可能性が高かったのです。
しかしほかの役割として、イベント時や軍事パレードなど宣伝活動をする際に活躍していましたので現在でも儀礼的に残されているのです。
話は変わりますが、この音楽隊はジャズに大きく貢献しています。どういう事でしょうか。アメリカでは1861年から南北戦争が行われていました。結果は北部軍(アメリカ合衆国)が南部軍(アメリカ連合国)に勝利したのですが、北部軍が南部のニューオーリンズを降伏させ、ミシシッピ川を北上して帰るさい、音楽隊は不要となった楽器をニューオーリンズの人たちに売り払いました。遊ぶためのお金が欲しかったようです。
当時貧しかったニューオーリンズにいた黒人たちは安価で楽器を手に入れることができました。そのためその地で黒人たちによるJAZZが流行っていき、全米に広がっていったのです。JAZZ発祥の地としてニューオーリンズが有名になっていったということです。まさか、音楽隊が売った楽器によってJAZZが生まれるとは興味深いですね。