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丸の内と新宿副都心、なぜ雰囲気がこんなに違うの?

新宿副都心

東京には、多くの高層ビルが立ち並ぶ「ビジネス街」がいくつかあります。その中でもよく比較されるのが丸の内新宿副都心です。どちらも東京を代表するオフィス街ですが、「丸の内は落ち着いていておしゃれ」「新宿副都心はなんだか無機質」そんな印象を持つ人も少なくありません。なぜ、同じようにビルが立ち並ぶ場所なのに、こんなに印象が違うのでしょうか?

丸の内は歴史がつくる「温かみ」

丸の内には、赤レンガの東京駅をはじめ、重厚な石造りのビルが立ち並んでいます。大正時代や昭和初期からの建物も一部残されていて、そこに新しい建物が上手に組み合わされています。街路樹や石畳の歩道、カフェのテラス席など、街のデザイン全体に「人のための空間」が意識されています。

たとえば丸の内仲通りでは、ビジネスパーソンだけでなく観光客やカップルがゆったりと歩いています。クリスマスの時期にはライトアップもされ、まるでヨーロッパの街角のような雰囲気になります。つまり、過去からの積み重ねと丁寧なまちづくりが、温かみを生んでいるのです。

一方、新宿副都心はどうして無機質に感じる?

新宿副都心は、戦後の高度経済成長期に一気に開発されました。特に1960年代後半から1980年代にかけて、東京都庁をはじめとする高層ビルが次々と建てられました。目的は「新しい行政とビジネスの中心をつくること」。そのため、効率性や経済性が最優先されたデザインになっています。

建物の間は広く、緑があるように見えても、広場や歩道が大きすぎて人の気配を感じにくいのです。また、同じような形のガラス張りのビルが並ぶことで、どこか冷たい印象を与えてしまいます。

たとえば、都庁前広場に立ってみると、ビルは確かに立派ですが、どこか「人が集まって楽しむ」空気ではありません。イベントなどがあるとにぎわいますが、普段は静かで広すぎる空間が広がっています。

「無機質」の理由はデザインだけじゃない?

実は、街の「雰囲気」はデザインだけで決まるわけではありません。人の流れ、店の種類、音、におい…そうしたすべてが街の個性をつくります。丸の内には、ブランドショップや老舗のレストランが多く、ゆったりとした時間が流れています。一方、新宿副都心には大型ホテルや公共施設が多く、利用者の多くは目的がはっきりしています。つまり、「用があって来る」場所になりやすいのです。

また、新宿はもともと「宿場町」として発展した背景があり、東口側や歌舞伎町は雑多な雰囲気があります。副都心側はその「にぎわい」とはあえて距離を置くように整備され、結果的に機能的ではあるけれど感情を動かしにくい空間になったのかもしれません。

未来はどう変わる?

とはいえ、新宿副都心にも変化の兆しがあります。最近では、高層ビルの低層階にカフェやオープンスペースが整備されたり、新宿住友ビルの三角広場のように、人が集まって過ごせる空間づくりが進められています。都市は生き物のように、時代に合わせて少しずつ変化します。無機質に見える場所も、今後はもっと人のぬくもりを感じる空間に変わっていくかもしれません。

まとめ:街の空気は「過去」と「人」がつくる

丸の内が温かく、新宿副都心が無機質に見えるのは、歴史の積み重ねとまちづくりの方向性の違いが大きな理由です。そして、そこにいる人たちの動きや感情が、街の雰囲気をさらに形づくっています。見た目だけでなく、その背景を知ることで、街歩きがもっと面白くなりますよ。

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