「アメリカ」と聞くと、ハンバーガーやピザ、広大な牧場を思い浮かべる人が多いかもしれません。でも実は、アメリカは世界でも有数の“お米大国”なのです。では、そんなアメリカの米は、いったいどの州で作られているのでしょうか?
今回は、アメリカの米作り事情をわかりやすく、かつ日本とのつながりもまじえてご紹介します。アメリカのお米がどこで育ち、どうやって日本に届いているのか。その背景には、広大な自然と政治の地図も関係しているのです。
アメリカの米は、ほぼこの6州で作られている
アメリカ全体の米の生産量のほとんどは、以下の6つの州に集中しています。
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アーカンソー州
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カリフォルニア州
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ルイジアナ州
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ミシシッピ州
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ミズーリ州
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テキサス州
この中で、カリフォルニア州以外の5州はすべて共和党の支持が強い州というのも、ちょっとしたトリビアです。つまり、アメリカのお米のほとんどは“保守的な州”で育てられているのです。アメリカ米を日本にもっと輸出できるようになれば、トランプ大統領は生産者に良い顔ができ、選挙にも有利に働くとみています。
特にアーカンソー州は、米の生産量で全米1位を誇ります。広大な田園地帯に水を張った田んぼが広がり、空から見るとまるで湖のよう。そこで働くトラクターの音が、毎日の収穫を支えています。
一方、西海岸のカリフォルニア州では、日本で馴染みのある短粒種(ジャポニカ米)が多く栽培されています。実はここが、日本に輸出されるアメリカ米の主な産地なのです。
日本に届くアメリカ米の正体とは?
「アメリカ産のお米なんて、食べたことないよ」と思っている人もいるかもしれません。でも実は、日本のスーパーや外食チェーン、給食などで、知らず知らずのうちに口にしている可能性があります。
アメリカから日本に輸出される米の多くは、ミニマム・アクセス米と呼ばれる枠組みで輸入されています。これは、世界貿易のルールにより、日本が一定量の外国米を輸入することを義務づけられているものです。
特にカリフォルニア州産の中粒種や短粒種は、味や食感が日本人の好みに合っており、混米や加工食品用としてよく利用されています。学校の給食やお弁当のおにぎり、冷凍食品など、実は身近なところに使われているのです。ちなみに、日本のコシヒカリやあきたこまちなどは短粒種になります。
アメリカ米の魅力とこれから
アメリカのお米は、最新の農業技術や大規模な設備によって育てられています。GPSで動くトラクター、衛星データで管理される水田、効率的な乾燥・貯蔵技術…。日本とはまったく違うスケールで米作りが行われているのです。
それでも、日本と同じように農家の人たちは空と土と向き合い、毎年の気候に悩まされながら一粒一粒を育てています。
今後は、アメリカからの米輸出がさらに増える可能性もあります。日本では少子高齢化で農業人口が減少しており、外国産米の重要性が高まっているからです。
最後に:遠く離れた大地から届く一粒
アメリカの広い空の下、共和党支持の州を中心に育つお米。その中には、日本の食卓にやってくるものも少なくありません。私たちが毎日食べているお米の一部は、遠くの誰かが手間ひまかけて育ててくれたものかもしれないのです。