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木材輸送に大活躍した日本初の森林鉄道とは?

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(写真はwikipediaから引用:津軽森林鉄道)
 

「森林鉄道」という言葉はほとんど耳にしないですよね。これは木材を運ぶ鉄道のことで、軽便鉄道の一種でもあります。軽便鉄道とは一般的な鉄道よりも規格が簡便で、安価に建設された鉄道です。ですから森林鉄道は普段利用する鉄道よりもコンパクトなものになります。

 

日本は山に囲まれていて木は豊富にあり、昔の建築物(寺社、家屋、橋など)のほとんどは木造でしたので、林業は日本の主要な産業でした。昔は、木材は手で運ぶのではなく川を用いて運んでいました。その方が一度に大量の木材を運ぶことができたからです。東京の江東区にある「木場」は川から流れて来た木を保管する貯木場として有名な地です。

 

話が逸れましたが、日本で初めて森林鉄道が走ったのは、1909年にできた「津軽森林鉄道」です。津軽地方は日本三大美林であるヒバの木に恵まれながら、大きな河川が無かったため木材を運ぶことが出来ませんでした。また当時は日露戦争が勃発し、木材の需要が高まったため、このヒバを輸送する目的で津軽森林鉄道が作られることになりました。

 

青森市沖舘から五所川原市金木町(現五所川原市)喜良市の67キロの幹線と、枝分かれした幾つもの支線を合わせた総延長121キロもの鉄道が青森の山奥に誕生しました。山の奥地まで大きな線路を敷くことができないので、小回りが利き建設費が安く済ませられる軽便鉄道が採用されました。この鉄道は木材だけでなく、山間部に住んでいる住民にも利用され山での貴重な足としても活躍しました。

 

1960年代までの日本は国産材中心の時代でした。そのため各地にある大量の木材が生産されていたのです。しかし伐採しても林道が貧弱な上、トラックなどの性能も低かったこともあり、木材の運搬手段として鉄道が利用されてきました。最盛期には全長5000㎞近くもの線路が森林地帯に敷かれたとも言われています。

 

その後、安価な外国産の木材が輸入されるようになり、交通インフラが整備されてゆくにつれ木材運搬もトラックにシフトしてゆきました。徐々に森林鉄道が廃止されてゆきます。津軽森林鉄道も1970年に廃止されています。

 

現在では鹿児島県の屋久島町において安房森林軌道が発電所の整備や木材の運搬のために走っています。また、京都市にある京都大学演習林軌道も不定期ながら運行されています。現在では2つしか森林鉄道は存在していません。

 

今日は、現在ほぼ見ることのできなくなった森林鉄道について書きました。

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