貴殿のふとした疑問に答えるブログ

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日本にとって超重要なマラッカ海峡 なんで海難事故が多いの?

シンガポールから見たマラッカ・シンガポール海峡

“マラッカ海峡” 皆さんも一度は耳にしたことがあるでしょう。マレー半島とスマトラ島のあいだにある海峡のことで、太平洋とインド洋を結ぶ海上交通の要衝となっています。マラッカ海峡という1つの海峡に感じますが、シンガポール海峡と併せてマラッカ・シンガポール海峡と呼びます。

日本にとってここはとても重要な場所で、物資のみならず中東からの石油を運ぶ際にこの海峡を通っています。多くの国のタンカーやコンテナ船も行き交う地で、世界の海上交通路の中でも重要な航路の一つに挙げられます。

 

そんな重要航路の一つであるマラッカ・シンガポール海峡は、海難事故が多く発生する場所です。なぜでしょうか。実はこの海峡はとても細長く、シンガポール付近の一番狭まっている場所では幅が2.8kmしかなく、水深も平均25mと浅いため、巨大なタンカーが行き交うのはとても大変な場所なのです。この海峡を通過できる船の最大サイズをマラッカマックスと呼びます。それを超える大きさの船は通行できません。

 

さて、マラッカ・シンガポール海峡で事故が多発している原因の一つが間違った海図です。80年代前半まで使われていた海図は不正確なものでズレが生じていました。なんで間違っていたのかというと、測量方法の異なるイギリス(海峡の北側)とオランダ(海峡の南側)の海図をつなぎ合わせて一つの海図としたため、誤った数値が表記されてしまいました。それに気が付かないまま間違った海図を信じて通行したため事故が起きてしまったのです。

 

その後、日本、マレーシア、シンガポール、インドネシアが共同でマラッカ海峡の調査を行い、誤りが正されました。そのため現在は正しい海図が出来上がっています。

 

正しい海図ができたとしても狭い海峡ですので気は抜けません。この海峡には浅瀬や岩礁が多く、海底には難破船が30隻以上沈んでいますので、とりわけ大型船は航行に困難を伴います。

 

加えて、突然スコールが襲ってきて視界を妨げることもありますし、季節風による強い海流が発生することもあります。インドネシアのスマトラ島における森林火災も煙を発生させ、船の航行を妨げることがあります。

 

マラッカ・シンガポール海峡は年間12万隻以上の船舶が通行しているため、ものすごく混雑している海峡です。日本に輸入されるものの多くもこの海峡を通っていますので、日本にとっても重要な場所の一つと言えます。

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