写真はwikipediaから引用(芝山鉄道3600形電車)
たった2駅しかない路線をご存知でしょうか?私の生まれ故郷である千葉県に存在する鉄道会社で、鉄道好きでなければ存在すら知らない可能性があるような会社です。その名も「芝山鉄道」です!
比較的最近開通した路線で、2002年になります。会社設立が1981年ですので、20年以上経過してからようやく鉄道が走ったことになります。この鉄道は2.2kmの区間しか走りません。歩いてもせいぜい30分くらいですね。では、なぜそのような短い区間に鉄道を走らせようとしたのでしょうか?そこには深いわけがあります。
2つの駅名は芝山千代田駅と東成田駅で、始点と終点だけの路線です。名前から分かるように日本の玄関ともいえる成田空港の近くを通っています。芝山町は成田空港に隣接している町で、空港ができると騒音や公害が発生してしまいます。それで芝山町は開港に協力する代わりに、見返りとして鉄道の建設を国に要求したのです。もしこの条件を国が飲まなければ芝山町でも反対運動が起こっていたかもしれません。
本来であれば芝山町中心部を抜け、山武市蓮沼地区を終点にする計画ですが、この路線は需要ゆえに出来た路線ではなく、政治的理由で計画された路線です。建設費に見合う需要がほとんどないので、延伸には至っておりません。空港勤務者の需要がある程度見込めそうな芝山千代田駅まではなんとか開業にこぎつけた、という感じなのです。
芝山鉄道は成田空港の下を通っていますので、路線の3分の2は地下区間を走ります。ローカル線の趣はほとんどありません。また、接続する京成電鉄と相互乗り入れを行なっているため、東京都心へも乗り換えなしで行くことができるのです。都心まで座っていけることを考えると便利と思う方はいるかも知れません。
ちなみに駅間の所要時分は約4分、運転本数は平日64本、休日58本、芝山千代田駅の一日平均利用者は1435人(2019年)です。車両は京成電鉄からのリースでアルミ製です。日中の車内はガラガラですが、全線が成田国際空港敷地内・隣接地内に所在している関係上、駅構内だけでなく車内にも制服着用の警察官が常に乗車して警備しています。車内に警察官がいるのは日本においては異様な光景ですね。
このように日本一区間が短い芝山鉄道は、いろんな意味で興味深い鉄道会社でもあります。皆さんも都合の良い時に一度乗りに行ってみてはいかがでしょうか。芝山千代田駅からは飛行機も見れますので。