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皇室が普段食べているものはどこで作られているの?

写真はwikipediaから参照

皇室の方々が食べているものは、一般の人が食するものとは少し違います。私たちはスーパーやコンビニに行って食材を揃えますが、皇室の人たちがスーパーに行って買い出しをしている姿はまず見たことがありません。セキュリティ上の理由やプライバシーの配慮から、公共の場に出入りすることは制限されているからです。そのため専属のスタッフが食材を揃えています。

 

よく、宮内庁御用達と謳った店を見かけることがあります。しかし、すべての食材が一般の店から仕入れているわけではありません。じつは、肉や野菜の食材はある牧場で生産されています。それが御料牧場です。御料牧場というのは一般的な牧場とは違い宮内庁が管轄していて、皇室で用いられる畜農産物を生産している牧場兼農場のことです。場所は栃木県の高根沢町と芳賀町にまたがる丘陵地にあります。

 

御料牧場の広さは252ヘクタール(東京ドーム54個分)もあり、この牧場では、馬や乳牛、豚、鶏、羊などが飼育され、畑ではキャベツやニンジン、トマト、レタス、イチゴなどが四季折々に合わせて野菜が栽培されています。当然野菜は無農薬で作られています。化学肥料もほとんど使わず、馬糞を使って育てているようです。

 

加えて、ここでは食材だけを生産しているだけでなく、皇室用の乗用馬、輓用馬の生産も行っています。輓用馬というのは、馬車を引っぱるための馬のことです。なぜこういった馬を生産しているかというと、皇室行事にはパレードや大使の信任状捧呈式があります。その際に馬が必要となるのですが、行事の度にどこかから馬をレンタルするのではなく、御料牧場から連れて来ていたんです。

 

このように、皇室が普段食べている料理の多くは、栃木県にある御料牧場で生産されたものなのです。では、昔から栃木県に牧場があったのでしょうか。じつはそうではなく、昭和44年までは千葉の成田市にありました。当時の名前は下総御料牧場です。なぜ成田から移転してしまったのでしょうか。

 

それは、成田空港を作るためです。首都圏には羽田空港がありましたが、今のように規模も大きくなく、国際路線に対応していませんでした。そこで候補地に挙がったのは成田です。現在の成田空港の約半分が下総御料牧場で、ここが国有地だったこともあり用地取得は簡単だろうということで成田が選ばれました。実際の用地買収はとても大変でしたが…

 

御料牧場が成田にあったことを示すものとして、成田国際空港第1ターミナルの住所は、千葉県成田市三里塚御料牧場1-1となっています。住所の中に「御料牧場」という名前が残っているのは面白いですよね。経緯を知らないと「なんで牧場?」と思ってしまうに違いありません。

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