私達日本人にとってお米は欠かせないものです。パン食が進んだとはいえ米を3食欠かさず食べる!という方もいるでしょう。しかし米を食べるのは日本だけではありません。アジアやヨーロッパ、アフリカやカリブ海諸国でも食べられています。では、みんな私達が食べる同じ米を食べているのでしょうか?今回は米について考察してみたいと思います。
まずは日本の稲の品種の数ですが、農林水産省の報告によりますと、2019(平成31)年産の農産物検査を行う産地品種銘柄の合計は、水稲うるち玄米が824銘柄、水稲もち玄米が132銘柄、醸造用玄米が223銘柄となっています。コシヒカリ、ササニシキ、あきたこまち、ひとめぼれ、山田錦などは有名ですが、日本だけでもこんなにも銘柄があるのは驚きですね。
では、世界で栽培されているお米にはどんなものがあるのでしょうか。またどんな特徴があるのでしょうか。世界で栽培されている稲には「アフリカイネ」と「アジアイネ」の2種類(しゅるい)があります。「アフリカイネ」は、アフリカの西部でごくわずかに生産されているだけで、ナイジェリア、ニジェール、マリ、ギニアを流れるニジェール川流域で栽培されているお米です。
現在栽培されているほとんどのイネは、「アジアイネ」になります。「アジアイネ」は、「ジャポニカ種」(日本型)、「インディカ種」(インド型)、「ジャバニカ種」(ジャワ型)の3種類に分けられます。
普段私たちが食べているお米は、「ジャポニカ種」で、他に、朝鮮半島(ちょうせんはんとう)、中国東北部、ヨーロッパの一部などで作られています。ジャポニカ種は米の粒が短く、炊くと柔らかく粘りとつやが出るのが特徴となっています。これは、米のデンプンに含まれるアミロースの量が少ないからです。もち米はアミロースがゼロなので、あんなに粘り気が出るのです。
日本人の視点で見ると、ジャポニカ種が世界中の多くで食べられているのだろうと考えてしまいますが、実は世界で一番多く作られているのは「インディカ種」になります。全体の80%以上を占めるほどです。中国の中南部、タイ、ベトナム、インド、マレーシア、バングラデシュ、フィリピン、アメリカなどで作られている米になります。米の粒が細長く、アミロースの量が多いので、炊いてもかためでパサパサしています。いわゆる「タイ米」ですね。チャーハンやピラフなどに合うお米です。
「ジャバニカ種」は、インドネシアのジャワ島などでごくわずかに栽培されています。米の粒の幅が広くて大型の米です。味はあっさりしていて粘りがあります。粘り気はジャポニカ種ほどではありませんが、リゾットやパエリアなどに向いているお米です。
その他の米の種類としては、炊き上げるとポップコーンみたいな香ばしい香りがする「香り米」や、タンニンを表皮に含む「赤米」、植物の葉に含まれるのと同じ色素をもつ「緑米」、アントシアニを含む「黒米」などの「有色米」もあります。本当に世界には色々なお米があるんですね。