砂漠には動植物がほとんどいないので、不毛な土地というイメージがあると思います。日本唯一の砂漠は1つだけです。鳥取砂丘ではありません。あれは、風で運ばれてきた砂が堆積してできた「砂丘」です。日本唯一の砂漠は伊豆大島にあります。サラサラとした褐色の砂でできた砂砂漠ではなく、岩や剥き出しの岩盤でできている岩石砂漠になります。
砂漠ってどうせ岩や砂しかないんだからそんなに重要じゃないよね、と考えるかもしれません。でも本当にそうでしょうか。実は砂漠には驚嘆すべき機能が備わっています。
アフリカ北部にあるサハラ砂漠の砂にはリンが豊富に含まれています。毎年数億トンもの砂が風に飛ばされて遠く南米のアマゾンまで運ばれます。その栄養分はアマゾンの植物の生育にとって欠かせないものとなっているのです。アマゾン川流域のジャングルを支えているのは実は砂漠の砂だったということが最近の研究で分かってきたようです。もし砂が飛んでこなければ栄養不足でジャングルは減少するとまで言われています。
南米まで届く砂もあれば、海（大西洋）に落ちてしまう砂もあるでしょう。これも重要なことの一つです。砂塵には鉄が含まれています。この鉄というのはプランクトンの成長に欠かせないものとなっています。つまり海の生き物を支えているものの一つに砂漠の砂が挙げられるのです。もし砂が降ってこなければ太平洋の海洋生物は今よりも少なかったに違いありません。
アフリカや中東では、鉱物や石油がたくさん採れます。それらは砂漠地帯から多く採ることができるのです。何も無さそうな砂漠ですが、地価には人間の生活に欠かせない資源がたくさん埋まっているのです。
中国西部にも砂漠が広がっています。春頃になると黄砂が中国大陸から日本にやって来て迷惑がられていますが、その砂が吹くことで酸性雨を中和しています。加えて、太平洋の植物プランクトンの栄養源ともなっているので、日本近海で魚がたくさん取れるのは砂漠の砂のおかげとも言えるでしょう。
砂漠の砂の働きには、二酸化炭素の吸収も促進しているようです。砂漠にいるバクテリアが空気中にある二酸化炭素を集めて貯めていることが分かったのです。地球温暖化を食い止めてもいるんですね。
このように、砂漠にたくさん木を植えて緑化すればいいという問題ではありませんでした。むしろ無くてはならないものなんですね。地球って本当に良くできています。
