「黒潮が大蛇行しています」「黒潮の大蛇行が終息しそうです」——そんなニュースを耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか。けれど、「黒潮って何?」「大蛇行ってどういうこと?」「私たちに関係あるの?」と疑問に思う方もいるかもしれません。
この記事では、黒潮が大蛇行すると何が起こるのか、そして黒潮が正常に戻るとどうなるのかを、わかりやすく、そして興味をかき立てるように解説していきます。
そもそも黒潮ってなに?
黒潮とは、日本の南を流れる暖かい海の流れのことです。世界三大海流の一つで、正式には「日本海流」とも呼ばれています。この黒潮は、フィリピン沖から台湾、沖縄、そして本州の南岸を通って、太平洋へと流れていきます。
まるで海の中にある巨大な「暖かいベルトコンベア」のように、南の暖かい海水を北へと運び、日本の気候や漁業に大きな影響を与えているのです。
黒潮の「大蛇行」ってなに?
通常、黒潮はわりとまっすぐに日本の南岸を流れています。しかし、時々この流れが大きく蛇行することがあります。これが「黒潮大蛇行(くろしおだいだこう)」です。
この大蛇行、まるで大きな竜が海の中をのたうつように、黒潮が南へぐんと膨らんで流れ方が変わる現象のことを指します。最近では2017年8月から大蛇行が始まり、2025年夏に終息しそうな兆しがでています。
黒潮が大蛇行を起こすと、和歌山県から千葉県にかけての沿岸に直接流れ込まず、沖合に大きく迂回するようになるのです。
黒潮が大蛇行すると何が起こるの?
では、この大蛇行が起こるとどんな影響があるのでしょうか? 実は、私たちの生活にも少なくない影響を及ぼします。
1. 漁業への影響が大きい!
黒潮が運んでくる暖かい海水は、魚たちにとって絶好の環境を作り出します。しかし、大蛇行が起こると黒潮の流れが変わり、魚の回遊ルートが変化します。
たとえば、本来は伊豆沖を通っていたカツオやマグロなどが、沖合のもっと南を通るようになり、漁獲量が減ることもあります。逆に、通常はあまり見られない種類の魚が突然獲れるようになることも。昨今、「漁獲量が減った」という報道を耳にしますが、終息すればもとに戻っていくかもしれません。
2. 天気や気温にも変化が…
黒潮は日本列島に温かい空気と湿気を届けています。ところが、大蛇行が起こるとそのバランスが崩れ、関東や東海沿岸で水蒸気が供給されやすくなります。そうなると湿度が上がり、気温が上昇していくのです。大雨や雷の増加ももたらします。このように、近年の記録的猛暑は黒潮の大蛇行が原因の一つになっているとのことです。
黒潮が正常に戻るとどうなるの?
黒潮の大蛇行は数年に一度、数か月から数年にわたって続くことがあります。今回は7年以上大蛇行が続いていますが、やがて、自然の流れの中で元のルートに戻ります。
黒潮が正常なルートに戻ると、魚の回遊ルートや海水温が安定し、漁業の回復が期待されます。また、気候も徐々に例年通りになっていくため、農業や生活にも安心感が戻ってくるのです。
とはいえ、黒潮の流れは自然の力によるものなので、「いつ正常に戻るか?」を正確に予測するのはとても難しいというのが実情です。
まとめ:海の流れが私たちの暮らしに直結している
黒潮の大蛇行は、ただの「海の話」ではありません。日本列島の気候や漁業、そして私たちの日常にまで影響を及ぼす、大きな自然現象なのです。
もし次に「黒潮が大蛇行しています」というニュースを見かけたら、ぜひ今日学んだことを思い出してみてください。目には見えなくても、海の中では地球規模のドラマが繰り広げられているのです。