
最近の夏のニュースを見ていると、「外国人旅行者が川で流される事故」や「海で溺れる外国人労働者」の報道が目につきます。
実はこれは偶然ではなく、いくつかの要因が重なって起きている、今の日本の「現実」です。
この記事では、なぜ外国人の海難・水難事故が増えているのか、そしてその背景や対策について、できるだけ具体的に、分かりやすく解説します。
■インバウンド増加が事故の背景にある
まず、前提として、日本にはかつてないほど多くの外国人が訪れているという事実があります。
日本政府観光局(JNTO)の統計によると、2024年の訪日外国人観光客数は3,300万人を超える勢いで、過去最高水準です。
また、それとは別に、日本国内には外国人労働者が約200万人も働いています。特に建設、農業、サービス業など地方部で働く技能実習生も多く、休日に仲間と自然に出かける機会も多いのです。
つまり、「海や川で遊ぶ外国人が、かつてないほど増えている」ということが、海難・水難事故の件数に直結しているのです。
■「川の危険性」を知らない外国人たち
実は、海よりも事故が多いのが「川」です。特に日本の川は、山が多く、川幅が狭く、流れが急なことで知られています。
しかし、東南アジアや中国などから来た外国人の多くは、下流のゆったりした大河で泳ぐ文化を持っています。
たとえば、メコン川やチャオプラヤ川のような、川幅の広い河川では、水面が穏やかで、流れも緩やかです。
そういった環境で育った人たちが、日本の「上流の急な渓流」で泳ぐと、流れの速さや水の冷たさに驚き、思わぬ事故に遭ってしまうことがあるのです。
特に夏になると、バーベキューやキャンプなどのレジャーで、「ここなら泳げそう」と浅瀬に入ったら一気に深くなっていたり、足を取られて流されたりというケースが多発しています。
■アジア人の多くは「泳ぎが苦手」な理由
もう一つの理由として、「水泳教育の違い」も大きく関係しています。
日本では小学校で水泳の授業がありますが、東南アジアや中国の一部の地域では、水泳教育がないか、あっても非常に限定的です。
また、アメリカやヨーロッパでは、幼少期から水泳を習う文化が定着しており、白人の多くは比較的泳ぎに自信があります。
それに比べて、アジア出身の人たちは、「泳げないけれど、水辺のレジャーを楽しみたい」という気持ちで川や海に入り、事故に遭うリスクが高くなっているのです。
実際に、2023年に起きた海難・水難事故のうち、外国人が関与したケースの7割近くがアジア系という報道もあります(※警察庁統計より)。
■ライフジャケットの装着率の低さも問題
さらに見逃せないのが、「ライフジャケットを着けない人が多い」という点です。
日本人でも着けない人が多いですが、外国人旅行者や実習生は、「貸し出し制度」や「持参の必要性」を知らないケースが多くあります。
特に川では、突然の増水(ゲリラ豪雨など)で一気に流れが速くなることもあります。そんなときに、ライフジャケットを着けていれば命が助かる確率が格段に上がるのです。
■言葉の壁と情報の届きにくさ
もう一つの重要な問題が、「危険情報が伝わらない」という点です。
たとえば、現地の掲示板や案内標識が日本語だけで書かれていても、外国人には読めません。
また、自治体や警察が発信している注意喚起も、日本語中心のため、外国人に届きにくいのが現状です。
「ここは遊泳禁止」「流れが急です」などの情報を多言語で発信する体制の強化が急務となっています。
■私たちができることは?
今後も訪日外国人は増え続けると予想されています。だからこそ、以下のような対策が必要です。
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多言語での注意喚起(英語・中国語・ベトナム語など)
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外国人向けのライフジャケットの無料貸し出し
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SNSやYouTubeでの安全啓発動画の配信
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地元住民による声がけや見守り活動
一方で、「知らない場所でむやみに泳がない」「泳ぎに自信がなければ水辺に入らない」という基本的な自己防衛の意識を、外国人にもしっかり伝えていくことも重要です。
■まとめ:海や川の美しさと危険は、表裏一体
日本の自然はとても美しく、多くの外国人にとって魅力的な観光地となっています。
しかしその裏には、「日本独特の地形や川の性質」という危険が潜んでいることも忘れてはいけません。
もしあなたの近くに外国人の友人や同僚がいるなら、ぜひ一言伝えてみてください。
「日本の川は思っているより危ないよ。絶対に油断しないでね」と。
その一言が、大切な命を守ることにつながるかもしれません。