写真はシベリア
今回気温38度になったのは、熊谷でも多治見でもありません。なんとロシアのシベリア、それも北極圏内にあるベルホヤンスクという街においてです。シベリアのイメージは極寒、針葉樹、永久凍土などかもしれません。私はそのようなイメージを持っていました。このベルホヤンスクはロシア連邦極東のサハ共和国に位置する都市です。といっても日本人には馴染みのない場所なので分からない方も多いのではないでしょうか。
このベルホヤンスクという場所は、北緯67度というとんでもなく北に位置していています。東京が北緯35度、札幌が43度、日本の一番北に位置する稚内ですら45度ですから、北緯67度というのがいかに北に位置しているかが分かります。
ベルホヤンスクは、北半球で最も厳しい冬の寒さで知られていて、厳寒期の気温は氷点下50度以下まで下がります。観測史上最低気温は1885年と1892年に観測された氷点下67.8度(アメリカ気象庁が採用する北半球の最低気温記録)です。しかし、夏の気温は緯度の割には上がり、昼には摂氏30度以上にもなることがあるそうです。私も北極圏で30度を超えるのを初めて知りました。
そして今回、観測史上最高気温が摂氏38.0度になり、観測史上最低気温との開きが105.8℃(北半球での年較差の最大記録)にもなりました。なんとも極端な気候ですね…。体に相当な負担がかかりそうです。
一時的に暑くなるのはそんなに問題ではないのですが、近年の温暖化の影響によって永久凍土が少しづつ溶け出している方が問題です。と言いますのも、永久凍土が凍っていれば固い地盤でいいのですが、溶け始めることでその上に立っている建造物が傾いたり、崩れたりしてしまうのです。
また、永久凍土の中にはメタンガスがたくさん埋まっていますが、融解することでメタンガスが地表に放出されます。そのガスによって温暖化を加速させ、また永久凍土を溶かしてしまうという負のスパイラルを引き起こします。
最後に、永久凍土が解けることでウイルスや病原菌が放出される可能性があります。2016年には地表から炭疽菌(たんそきん)が放出されトナカイや人間が死んでしまうというニュースがありました。地球温暖化に伴い、他の病原微生物が地上に再び現れるリスクも指摘されています。
「北極圏のベルホヤンスクで38度」というニュースに目が行ってしまいますが、年々進んでいる温暖化によって永久凍土が溶けていく方が怖いですね。