写真は東西線
地下鉄は「地下を走る鉄道」の事です。しかし、地上を走っている地下鉄も珍しくありません。例えば関東で代表的なものと言えば「東京メトロ東西線」が挙げられます。関西で言えば「大阪メトロ御堂筋線」でしょう。
東西線は中野駅から西船橋駅間30.8kmを走っていますが、地上区間を走るのが最も長く、起点の中野駅(地上)を出ると地下に潜り、南砂町駅を過ぎたところで地上に出ます。西葛西、葛西、浦安、南行徳、行徳、妙典、原木中山、西船橋の区間は完全に地上しか走りません。地上を走る区間の長さは13.8kmで、東西線の全区間の約45%が地上を走っています。
1978年に、荒川の鉄橋を走っていた東西線が竜巻によって脱線する事故がありました。この時の負傷者は23名、1両が脱線し、2両が横転しました。一部テレビ局のニュース速報で「地下鉄電車が突風で転覆」とテロップが表示され、地下鉄に地上区間や鉄橋があることを知らない人は驚いたという逸話があります。
関西圏において地上区間を走る地下鉄で有名なのが御堂筋線です。大阪市内の主要駅である新大阪駅 - 梅田駅 - 難波駅 - 天王寺駅を直線的に結び、大阪市内における最重要路線かつ大動脈を担っています。中津駅を出たら、地下から地上に出ます。西中島南方、新大阪、東三国、江坂、緑地公園、桃山台、千里中央間は完全に地上区間です(江坂駅-千里中央駅は相互直通している北大阪急行線)。
では、なぜ地下をずっと走らないで地上に出るのでしょうか。いくつか理由があります。川の下は地盤が軟弱なのでやむを得ず地上を走ることがあります。
また起伏がある場所では、列車が地上に顔を出したり地下に潜ったりを繰り返すことがあります。東京メトロ丸の内線などがこのケースです。茗荷谷駅、後楽園駅、御茶ノ水駅、四ツ谷駅は地上にあります。
写真は丸の内線(下)とJR中央線(上)
加えて、東京メトロ銀座線の起点となっている渋谷駅は谷地形であるため、隣駅である表参道駅と標高差が18mもあります。そのため地下鉄ながら建物3・4階にホームを内包する珍しい構造となっているのです。銀座線の下に山手線が走るという逆転現象が起きています。
御堂筋線の話に戻りますが、御堂筋線の建設時は淀川の下にトンネルを掘る技術は無かったので地上を走ることになったようですし、建設当時の淀川北側は地下鉄にしないといけないほどの建物密集地帯ではなかったゆえに地上を走ることになりました。現在、この地上区間は国道423号の中央に地下鉄が走っています。この光景を見ると「あー大阪に来たな」と感じるのは私だけでしょうか?