ここ数年、大雨や台風による水害リスクが大きくなっています。川が氾濫する場面を毎年のようにテレビなどを通して目にします。特に令和元年の台風19号では千曲川の堤防が決壊し、JR東日本の長野新幹線車両センターが浸水し、多摩川の氾濫によってタワーマンションの欠点などが浮き彫りになりました。台風19号によって都市部も水害リスクを抱えていることが多くの方に周知されたのではないでしょうか。
そのように毎年のように水害が多くなっていることを踏まえて、国土交通省は2020年8月28日から住宅の購入や入居希望者に大雨が降った際の水害リスクを説明するよう、不動産業者に義務付けました。事前に知らせることによって居住者が逃げ遅れるのを防ぐ狙いがあるようです。
近年の水害が多い原因は、海水温の上昇によるものです。海水温が上昇すれば水蒸気の量が増し、雨量が多くなるというメカニズムです。台風は日本を通過しますので、同時に多くの雨も運んできます。集中豪雨の発生で川の水が多くなり水害が発生するのです。そしてこれからも水害は多くなると予想されます。
最近よく耳にするようになった「大雨特別警報」は「数十年に一度の大雨」に相当するレベルのものですが、運用開始から7年間で16回出ています。これでは「半年に一度の大雨」レベルになってしまいます。しかし、それぐらい大雨が降る頻度がここ数年で増えているということです。
これだけ水害が多いので、自分の住んでいる自治体のハザードマップを見るよう国は勧めています。大まかではありますが自分の住んでいる場所の危険度が分かります。これからの時代は購入する前&入居する前にハザードマップで確認しておく必要がありますね。もう少し詳しく災害リスクを知りたい方は国土地理院が出している地理院地図をご覧ください。自分の住んでいる場所がもともとどんな地形だったのか、なども知ることができます。
本来であれば、家を買うまたは借りる際にハザードマップなどを確認しそうですが、それすらしない人がいるのも事実です。もしかしたら立地や値段(家賃)が優先されて災害リスクまで考慮しないのかもしれません。そのような方のためへの説明はたしかに親切かもしれません。
立地やデザインなど色々な物件を調べて、ようやくお気に入りの家が見つかったのに、いざ不動産業者から「ここは水害のリスクがありますが…どうしますか?」と聞かれると躊躇してしまう方もいるでしょう。そうならないためにも、これから家の購入&入居を考えている方は建物の耐震だけではなく水害リスクも考慮するのをお勧めします。自分の命に関係しますので