写真:wikipediaから参照
政治家の演説を見ていると下の原稿を見ながら話す人と、前を向いて話す人がいます。先日の菅首相の施政方針演説を見ていると、菅首相は下の原稿を淡々と読んでいました。あまり前を向いて話すのは苦手なのかもしれませんね。一方、安倍元首相は前を向いて話すことが多かったように感じます。
下を向いて話しているより前を向いて話した方が、国民や聴衆に思いが伝わるでしょう。そのメリットは計り知れないので、出てきたのがプロンプターです。透明なアクリル板のようなもの(ハーフミラー)が演題の斜めに設置されているのを見たことがあるでしょう。そこに原稿が映し出されていますので、それを読むだけで顔は前を向くことになり、テレビ越しには前方の聴衆と話している感じを受けるのです。聴衆側からは透明な板にしか見えません。
前を向いて話すことにはどんなメリットがあるのでしょうか。
- 視線を下げないで聴衆に話す、もしくは語りかけることができます
- 原稿を間違えてはいけない、という緊張感が薄くなります
- 聞いている人とアイコンタクトができることでより会場と共感が生まれやすくなる
- 聞いている人も話し手の顔や仕草が見えるので、集中して聞くことができます
- 自分の話しかける人に関心を抱いているしるしとみなされる
- 確信を持って話している証拠ともみなされる
こんなにメリットがあることを考えると、講演や演説時にはプロンプターを使った方がいいのかもしれませんね。アメリカでは1960年代には使われていたようで、日本においては細川首相が初めて使用しています。意外に昔からあるんですね。
日本人は人前でスピーチすることに慣れていないので、どうしても原稿を見てしまいがちです。政治家でもそういった方が多いですね。プロンプター無しで堂々と話すことができた首相は田中角栄さんと小泉純一郎さんとかでしょうか。
スピーチ用のプロンプターも重宝されますが、アナウンサーが使用するプロンプターもあります。カメラプロンプターというもので、ビデオカメラのレンズの前にハーフミラーが組込まれており、液晶ディスプレイに文字を表示し、その文字を ハーフミラーに映し出す装置です。この存在を知らないと、「どうしてアナウンサーはあんなに原稿を暗記できるの?」と感じてしまうでしょう。やはり視聴者との視覚による接触と、正確に情報を伝えるという2点を取るためにはプロンプターが欠かせないんですね。
私も人前で話す時には、原稿に頼らず前を向いて話したいものです。個人用にプロンプター買おうかな…