自分の田んぼだけに水を引いてくるのが“我田引水”。政治的な介入によって自分の県や市町村に鉄道を通すことを“我田引鉄”とも言われています。おらが町に鉄道を通すことは票を獲得するために政治家にとっては大事なことでした。しかし日本中すべての自治体に鉄道を通すことは出来ません。今回は鉄道が通らなかった、もしくは現在通っていない場所をピックアップしたいと思います。
①鹿屋市(鹿児島県)
人口10万人を擁する、鹿児島県大隅半島の行政・経済・産業の中核となる都市です。1987年までは国鉄大隅線が通っていましたが、現在は廃線になり、鉄道の通っていない自治体で人口10万以上の市はこの鹿屋市だけです。
②神栖市(茨城県)
茨城県最東南端の鹿行地域に位置する市で、利根川を挟んだ向かいは銚子市(千葉県)になります。人口は9万5千人です。重化学コンビナートがあることから鹿島臨海鉄道の貨物線が通っていますが、旅客営業はされておりません。
③綾瀬市(神奈川県)
神奈川県の中部に位置する市で、比較的小さな市でありながら市内の18%強が在日米軍と海上自衛隊の厚木基地になっています。それでも8万4千人の人口を抱えていますので、腐っても神奈川県と言えます。【比較として綾瀬市の面積は22.14㎢、鹿屋市の面積は448.15㎢です】。市内には東海道新幹線が通過しているだけです。
④南アルプス市(山梨県)
山梨県の西に位置する市で人口7万強人を擁しています。市内には国内第2位の標高3,193mの北岳を筆頭に、間ノ岳、仙丈ヶ岳など南アルプス(赤石山脈)北部の3,000m級の高峰、名峰が連なっています。ここは山梨県で唯一鉄道が通っていない市となっています。
⑤武蔵村山市(東京都)
東京都の多摩地域北部に位置する市です。市の面積は綾瀬市よりも小さい15.32㎢になり人口は7万人です。鉄道と国道が通っておらず、鉄道にいたっては多摩地域の市部の中で唯一通っていない自治体でもあります。以前から需要の大きな鉄道空白地帯として知られています。都心への通勤通学も一苦労のようです。しかし2032年に多摩都市モノレールが市内を通る予定です。市民の切なる願いですね。ちなみに志村けんさんで有名なのは東村山市で、こちらは西武鉄道とJR東日本あわせ8路線が通っています。同じ村山が付いていても格差を感じますね…
今回は、鉄道が通っていない大きな自治体トップ5を見てみました。1位がまさかの鹿屋市(鹿児島県)とは思いませんでしたね。