日本人は一年の間に平均338個の卵を食べるそうで、世界2位の卵消費量です。自分ではそんなに買っていないと感じますが、加工品の中に卵がたくさん使われていますので、そういったものを合わせると338個食べているようです。日本人にとって卵は欠かせないものとなっています。
スーパでは卵1個あたり20円くらいで売られていてとても安価です。しかし安いには理由があります。日本の養鶏場の9割が鶏舎のバタリーケージ(狭いケージ)の中に鶏を閉じ込めたくさんの卵を産ませています。たくさん卵を産んでくれるのは良いのですが、この飼育環境が劣悪なのです。ニワトリ1匹に対して与えられた面積がipad1つくらいです。めちゃくちゃ狭いですよね。身動きもほとんど取れず、羽をバタバタさせようものなら壁にぶつかって骨を折ってしまうこともあるようです。
また、ニワトリは「止まり木」で寝る習性がありますがそのようなものはゲージ内に無く、さらに砂遊びをして寄生虫を落とすことが出来ないので定期的に殺虫剤をまかれています。
年間20個程度しか卵を産まない鶏を、品種改変で300個も産むようにしてしまっています。ほぼ毎日産んでいることになります。ニワトリにとってみれば負担でしかありません。毎日子供を産んでいるのですから…
そういった劣悪な環境をどうにかしようということで、ヨーロッパではゲージフリーで飼育しています。放牧させ、止まり木を造り、卵を産みやすいように巣箱を設置したりしています。こういった動物への配慮をアニマルウェルフェア(動物福祉)とよびます。このアニマルウェルフェアはヨーロッパだけではなく、多くの国でも取り入れられています。
卵を美味しく食べるけれど、どうやって生産されているのかは多くの方が知りません。大量に生産されているので価格も安くなっています。アニマルウェルフェアを取り入れることで卵の価格が騰がってしまったら消費者は卵を買わなくなってしまいます。それを生産者や業者などは危惧しています。
卵のパックに「止まり木に止まっていたニワトリの卵」と書かれていたとしても、購入する側からみれば「それがどうした…」となってしまい、値段が高いので敬遠されてしまいます。結局は安い卵に手を延ばすでしょう。そうならないためにも消費者が現状をよく知って、社会全体で議論する必要があるのです。何にでも「安い」には理由があるのです。