貴殿のふとした疑問に答えるブログ

ふと疑問に思う「なぜ?」「どうして?」「〇〇って何?」に答えるブログです。

なんで飛行機は南極の上を飛ばないの?

南極大陸とペンギン

皆さんは飛行機に乗っていて南極の上空を飛んだことがありますか。多くの方は「ない」と答えるでしょう。それはなぜでしょうか。答えは簡単です。Google Earthを見ていただければ分かります。

 

マップを見ていただくと南極の近くには何があるでしょうか。3つの大陸があります。アフリカ大陸、南米大陸、オーストラリア&ニュージーランドです。このように南半球にはフライト需要のある都市が限られています。つまり、航空路線を開設するためには経済的に利益の出る、需要が見込める人口の多い地域間が対象になります。

 

アフリカ大陸であれば南アフリカのヨハネスブルグ、南米大陸であればアルゼンチンのブエノスアイレス、ブラジルのサンパウロ、リオデジャネイロ、オーストラリアであればシドニーあたりです。これらの都市を線で引いてみると、南極の上を飛ぶことはないのです。

 

加えて、ETOPSというルールもあります。このルールはエンジンが2基の旅客機で、仮にそのうちの1基が飛行中にエンジンストップした場合でも一定時間以内に代替の空港へ緊急着陸することが可能な航空路でのみ飛行が許されるものです。ETOPSには種類があり、ETOPS-120,180.207,240,330,370とあります。この120,180,207,240,330,370は時間を示します。エンジンの信頼性が高ければ高いほど、近くの空港から長距離の飛行ルートが認められます。

 

もし南極上空で緊急着陸が必要になった場合どうするのでしょうか。着陸できないというわけではありません。実際2023年にボーイング787型機が南極に初着陸をしました。といってもノルウェーの極致研究所の特別便で、研究員や関連資材を積んだ飛行機ですので、観光目的に設定された便ではありません。また、この飛行場はコンクリートの滑走路ではなく、氷でできた着陸帯の飛行場です。氷の厚い10月から3月の間しか使うことができませんし、迎え入れるために滑走路用に整備しなければならないのです。

 

もし300人近くが乗った飛行機が緊急着陸で南極に降り立ったとしても、整備された空港はないので管制からのサポートはほぼ皆無ですし、機体を修理する施設や、一度に300人が泊まれるような宿泊施設もありません。天候が悪ければ何日も足止めされてしまいます。実際的ではありませんね。

 

結局のところ、安全面、法規制、経済的、現実的な要因により南極大陸上空を通過する定期便はめったにありません。観光目的のチャーター便はありますが、こちらもやはり着陸はしません。

にほんブログ村 教育ブログ 社会科教育へ
にほんブログ村