貴殿のふとした疑問に答えるブログ

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黄砂って何? 中国から砂が飛んで来るだけのことじゃないの?

 

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春の時期になるとモンゴルや中国からやってくるものといえば黄砂があります。今年もニュースになりました。黄砂がやって来ると視界が曇る、車や洗濯ものが汚れるなどでメリットしかありません。砂だから仕方ないか…と考えてしまうかもしれませんが、実は人体には良くないものなのです。では、そもそも黄砂とは何なのか考えてみましょう。

 

中国はとても広い国土を有しており人口も世界一です。しかし人口が密集しているのは半分から東側で、中国内陸部は黄土高原、ゴビ砂漠、タクラマカン砂漠など乾燥地帯が広がっております。それら乾燥地帯の砂が風によって数千メートルの高度にまで巻き上げられ、偏西風に乗って日本に飛来し、大気中に浮遊あるいは降下する現象です。

 

ただの砂が飛んで来ると思いますが、そうではありません。飛んでくる過程で大都市圏や工場群の上を通過していきます。そのため工場から出る有害物質を砂が吸着することで人体に悪影響なものとなって日本に降り注いでくるのです。確かに黄砂の時期になると、目やのどの痛みや喘息などを誘発する方は少なくありませんね。

 

人によっては、黄砂によって肌が痒くなったり真っ赤になるようです。一種のアレルギー反応ですが、これは砂に反応しているのではなく、黄砂に含まれるPM2.5内のニッケル成分が金属アレルギーを引き起こしたことによる症状のようです。実際、この時期にアレルギー性接触皮膚炎を起こしている人を捜すためパッチテストを行うと、9割の人にニッケルアレルギーがあるという報告もあるとのことで、まさか黄砂がニッケルアレルギーを発症させているなんて思いも寄らないですよね。

 

このように黄砂はいろいろな悪影響をもたらしているのです。しかしデメリットだけではないようです。砂や砂に付着した物質によって、土壌や海洋へミネラルが供給され、植物や植物プランクトンの生育を促進し土壌を肥やす効果があることも指摘されています。また、砂の成分であるリン、鉄、アルミニウムなどが、海洋のプランクトンの生育に関わっているとの研究結果もあり、それによって東シナ海では黄砂が供給する栄養分で植物プランクトンが増えて、これを餌にする魚介類が育つのに一役買っているようです。環境的な利益があるとなると一概に“黄砂=悪”とは言えませんね。

 

今回は黄砂について書きました。ちなみにアフリカ大陸にある世界最大の砂漠、サハラ砂漠で発生するものを紅砂と呼びます。なぜ紅砂かというと、中国の黄砂より赤みが強いため紅砂と呼ぶようです。

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