日本で生活をしていて、水に困るということはほぼありません。何十年か前に水不足になって取水制限がありましたが稀なことです。日本は山に囲まれており地下水も豊富ですし、河川も多くあります。それに加えてインフラも整っているので24時間いつでも蛇口をひねれば水が出ます。素晴らしいことです。
しかし世界を見回すと水不足で困っている国はたくさんあります。日本の人口は減少していますが世界規模では増えており水の消費量は増えています。また気候変動によって水不足が起こっている地域もあります。実はこの問題は日本人にとっても他人事ではありません。どういう事でしょうか。
皆さんはバーチャルウォーターという言葉をご存知でしょうか。日本語に訳すと「仮想水」になります。このバーチャルウォーターとは、食料を輸入している国(消費国)において、もしその輸入食料を生産するとしたら、どの程度の水が必要かを推定したものを指します。
例えばコーヒー10gを作るのにどのくらいの水を使っているのでしょうか。環境省が出している答えは210ℓです。といってもコーヒーの木に210ℓの水を与えるというのではなく、私達が実際にコーヒーを飲めるようになるまでに、原料生産だけでなく、豆を加工したり、包装材を生産したり、輸送や販売をする際にも水を使用します。その過程で使用する水のトータルが210ℓということになります。かなりの水が使われていますね。他の食料もピックアップしてみます。
じゃがいも1個 →19ℓ
キャベツ1個 →82ℓ
かぼちゃ1個 →371ℓ
みかん1個 →37ℓ
りんご1個 →69ℓ
牛乳1000g →550ℓ
小麦粉100g →210ℓ
米1合 →555ℓ
卵1個 →179ℓ
鶏1羽 →4500ℓ
豚1頭 →5900ℓ
牛1頭 →20600ℓ
牛を1頭育てて、私たちの口に入るまで20600ℓもの水が必要になっているとは驚きではないでしょうか。それもあって現在は代替肉が市場にも出回ってきています。代替肉とは、豚肉や牛肉、鶏肉といった動物の肉を使わず、植物などの別の素材で代替したものを指します。大豆で作ったソイミートなんかが有名ですね。
日本のカロリーベースの食料自給率は40%程度なので、日本人は海外の水に依存して生きていると言えるのではないでしょうか。もし水不足で作物が作れなくなったら、それらを輸入している私達にも大きな影響が出るということです。ですから世界的な水不足は日本人にとっても他人事ではないということが分かります。