貴殿のふとした疑問に答えるブログ

ふと疑問に思う「なぜ?」「どうして?」「〇〇って何?」に答えるブログです。

見た目バスなのに、電車扱いの乗り物って何?

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写真はwikipediaから参照 立山黒部貫光のトロリーバス

皆さんは黒部アルペンルートを通ったことはおありでしょうか。いくつもの乗り物を乗り継いで長野県と富山県の間にある北アルプスを抜けていくわけですが、途中普段見ることのできない雄大な自然や巨大な黒部ダムなどを見ることができます。その中にトロリーバスというものがあります。名前だけ聞くとバスの一種でしか思えません。それに加えて見た目もバスそっくりです。しかし法律上の扱いはバスではなく鉄道になります。これはどういう事でしょうか。

 

トロリーバスと普通のバスの違いは動力のエネルギー源がどこにあるかです。普段街中で目にするバスはディーゼルエンジンで動き、軽油が燃料です。対してトロリーバスは電気で走ります。それも電車と同じように上に張った架線から電気を供給して走ります。なのでトロリーバスが走る道路の上には架線(電線)があります。鉄道と同じ信号や標識を使っています。

 

トロリーバスは、正式には「レールの無い電車」という意味の「無軌条電車」になり、見た目など含めてほとんどバスですが、運転するには電車運転士の免許が必要になります。また、大型自動車第二種運転免許も必要です。

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写真はwikipediaから参照 今は走っていない関西電力のトロリーバス

以前は扇沢-黒部ダム間(関西電力)、大観峰-室堂間(立山黒部貫光)の2区間で走っていましたが、2018年に関西電力が走らせていたトロリーバスは現在電気バスに置き換わっています。そのため日本で唯一トロリーバスが走っているのは大観峰-室堂間(立山黒部貫光)だけになりました。

 

今でこそ立山黒部アルペンルートでしかトロリーバスに乗れませんが、昔は東京、川崎、横浜、名古屋、京都、大阪でも走っていました。しかし時代は変わり、トロリーバスが道路の渋滞を引き起こしたため次第に姿を消し、1972年には大都市からすべてのトロリーバスは無くなりました。現在では性能が良いディーゼルエンジンやハイブリッド方式の路線バスが登場していますので、今後日本においてはトロリーバスを見ることはないのではないでしょうか。

 

では、なぜ立山黒部アルペンルートだけトロリーバスが残ったかというと、アルペンルートの周辺は国立公園に指定されていて、環境に配慮するため、またトンネルの長さを考慮した結果、排気ガスを出さないトロリーバスで運行することになりました。美しい景観を守るのには適したバスと言えるでしょう。立山黒部貫光のトロリーバスは、廃止のうわさは今のところありませんので、いつでも乗れますね。ちなみに冬季はアルペンルート自体が閉鎖されていますので、トロリーバスにも乗れません。営業が始まる4月中旬まで待ってください。

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